この記事では、将棋の八大タイトル戦について、それぞれの特徴や違いをわかりやすくまとめています。各タイトル戦の詳しいルールや仕組みは、個別の解説ページもあわせてご覧ください。
将棋のタイトル戦とは?
プロ棋士がタイトルをかけて争う公式戦
将棋のタイトル戦とは、プロ棋士同士がタイトルの座をかけて争う公式戦のことです。タイトル保持者(前年の勝者)に対し、予選を勝ち抜いた挑戦者が番勝負で対決します。勝った方が次の期のタイトル保持者となります。
タイトル戦は新聞社・企業がスポンサー
それぞれのタイトル戦には、新聞社や企業がスポンサー(主催者)として付いています。プロ棋士は日本将棋連盟の所属ですが、各タイトル戦の運営費用はスポンサーとの契約料でまかなわれています。
将棋のタイトル戦は、簡単に言うと新聞社などがスポンサーとして主催する将棋の大会ということになります。スポンサーごとにそれぞれ大会を主催しており、それが8種類あるため八大タイトル戦となっているわけです。
タイトル保持者はタイトルを名乗れる
タイトルを保持している棋士は、段位の代わりにタイトル名を名乗ります。たとえば藤井聡太棋士が竜王のタイトルを持っていれば「藤井聡太竜王」と呼ばれます。複数のタイトルを持っている場合は「藤井聡太竜王・名人」のように併記されたり、3つ以上の場合は「藤井聡太六冠」のようにまとめて呼ばれることもあります。
八大タイトル一覧と現在の保持者(2026年4月時点)
2026年4月時点での八大タイトルの保持者や概要を一覧表にまとめました。情報は日本将棋連盟公式サイトに基づいています。
| 序列 | タイトル | 現保持者 | 主催 | 番勝負 | 持ち時間 | 賞金・対局料 | 詳細 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 竜王 | 藤井聡太(5連覇中) | 読売新聞社 | 七番勝負 | 各8時間(2日制) | 4,400万円 | 詳細へ |
| 2 | 名人 | 藤井聡太(3連覇中) | 朝日新聞社・毎日新聞社 | 七番勝負 | 各9時間(2日制) | 非公表 | 詳細へ |
| 3 | 叡王 | 伊藤匠(2期連続) | 不二家 | 五番勝負 | 各4時間(1日制) | 非公表 | 詳細へ |
| 4 | 王位 | 藤井聡太(6連覇中) | 新聞三社連合 | 七番勝負 | 各8時間(2日制) | 非公表 | 詳細へ |
| 5 | 王座 | 伊藤匠 | 日本経済新聞社 | 五番勝負 | 各5時間(1日制) | 非公表 | 詳細へ |
| 6 | 棋王 | 藤井聡太(4連覇中) | 共同通信社 | 五番勝負 | 各4時間(1日制) | 非公表 | 詳細へ |
| 7 | 王将 | 藤井聡太(5連覇中) | スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社 | 七番勝負 | 各8時間(2日制) | 非公表 | 詳細へ |
| 8 | 棋聖 | 藤井聡太(6連覇中) | 産経新聞社 | 五番勝負 | 各4時間(1日制) | 非公表 | 詳細へ |
※賞金額は竜王戦のみ公式サイトで公表されています。他のタイトル戦の賞金額は非公表です。
タイトル戦の序列
竜王・名人が最高位
八大タイトルには序列(格付け)があり、竜王と名人が最も格の高いタイトルとされています。序列はスポンサーとの契約料によって決まると言われています。
- 竜王(読売新聞社)
- 名人(朝日新聞社・毎日新聞社)
- 叡王(不二家)
- 王位(新聞三社連合)
- 王座(日本経済新聞社)
- 棋王(共同通信社)
- 王将(スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)
- 棋聖(産経新聞社)
叡王戦は2017年に始まった最も新しいタイトル戦
8つのタイトル戦のうち、叡王戦は2017年に始まった最も新しいタイトル戦です。叡王戦が始まる前は七大タイトルでした。
プロ棋士の羽生善治先生は、1996年に当時の七大タイトル全てを同時に保持し、「七冠独占」を達成しました。そして2023年、藤井聡太竜王・名人が叡王戦を含む八大タイトル全てを制覇し、史上初の「八冠独占」を達成しました。
永世称号の一覧
各タイトル戦には「永世称号」と呼ばれる特別な称号があります。タイトルを一定の回数以上獲得した棋士に与えられる、最高の栄誉です。
永世称号は、各タイトル戦において所定の回数以上タイトルを獲得した棋士に与えられる称号です。
| タイトル | 永世称号 | 取得条件 |
|---|---|---|
| 竜王 | 永世竜王 | 連続5期 または 通算7期 |
| 名人 | 永世名人 | 通算5期 |
| 叡王 | 永世叡王 | 通算5期 |
| 王位 | 永世王位 | 連続5期 または 通算10期 |
| 王座 | 名誉王座 | 連続5期 または 通算10期 |
| 棋王 | 永世棋王 | 連続5期 |
| 王将 | 永世王将 | 通算10期 |
| 棋聖 | 永世棋聖 | 通算5期 |
※永世称号は原則として引退後に名乗りますが、特例として現役中に名乗ることが認められる場合もあります。
各タイトル戦の詳細
ここからは、八大タイトル戦それぞれの特徴を簡単に紹介します。詳しいルールや仕組み、歴代の保持者については、各タイトル戦の個別ページで解説しています。
竜王戦 — 将棋界最高峰のタイトル
竜王戦は、読売新聞社が主催する将棋界最高峰のタイトル戦です。優勝賞金4,400万円は将棋界で最も高額です。全棋士が1組~6組のクラスに分かれて戦うトーナメント方式が特徴で、下位クラスの棋士にも挑戦者になれるチャンスがあります。
名人戦 — 400年以上の歴史を持つ最古のタイトル
名人戦は、朝日新聞社・毎日新聞社が主催する、将棋界で最も歴史のあるタイトル戦です。挑戦者は順位戦A級の成績上位者から決まるため、名人への道のりは非常に長く険しいものとなっています。持ち時間9時間は全タイトル戦中最長です。
叡王戦 — 最も新しい八大タイトル
叡王戦は、不二家が主催する2017年創設の最も新しいタイトル戦です。持ち時間4時間の五番勝負で、他のタイトル戦と比べてスピーディーな展開が魅力です。現在は伊藤匠叡王が2期連続でタイトルを保持しています。
王位戦 — 予選リーグ+プレーオフの独自形式
王位戦は、新聞三社連合が主催するタイトル戦です。紅白2つのリーグ戦の優勝者同士がプレーオフを行い、挑戦者を決める独自の方式を採用しています。七番勝負・持ち時間8時間の2日制で行われます。
王座戦 — 女流棋士も参加できるタイトル戦
王座戦は、日本経済新聞社が主催するタイトル戦です。全棋士に加えて女流棋士4名も参加できるのが特徴です。五番勝負・持ち時間5時間で行われます。現在は伊藤匠王座がタイトルを保持しています。
棋王戦 — 敗者復活のある変則トーナメント
棋王戦は、共同通信社が主催するタイトル戦です。予選を勝ち上がった棋士が、敗者復活戦のある変則トーナメント(挑戦者決定戦)で争います。五番勝負・持ち時間4時間で行われます。
王将戦 — 全7局の壮大な七番勝負
王将戦は、スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社が主催するタイトル戦です。全棋士参加の一次予選から二次予選を経て、挑戦者決定リーグで争います。七番勝負・持ち時間8時間の2日制で行われます。
棋聖戦 — 毎年最初に決着するタイトル
棋聖戦は、産経新聞社が主催するタイトル戦です。例年6月〜7月に五番勝負が行われ、その年最初に決着するタイトル戦として注目されます。持ち時間4時間の1日制で、スピード感のある対局が魅力です。
順位戦について
順位戦は八大タイトル戦には含まれませんが、名人戦の予選(挑戦者決定リーグ)としてプロ棋士にとって非常に重要な棋戦です。
全プロ棋士がA級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組の5つのクラスに分かれてリーグ戦を行い、成績に応じて昇級・降級が決まります。A級の優勝者が名人への挑戦権を得ます。
まとめ
- 将棋には竜王・名人・叡王・王位・王座・棋王・王将・棋聖の8つのタイトル戦がある
- 序列は竜王・名人が最高位で、スポンサーとの契約料で決まる
- 七番勝負(竜王・名人・王位・王将)と五番勝負(叡王・王座・棋王・棋聖)がある
- 一定回数タイトルを獲得すると「永世称号」が与えられる
- 2026年4月時点では、藤井聡太が6つ、伊藤匠が2つのタイトルを保持














