今回の記事では、王座戦のルールや仕組みについて解説していきます。
目次
王座戦とは? ― 日本経済新聞社主催のタイトル戦
現在の王座は伊藤匠(2026年4月時点)
2026年4月現在、王座のタイトルを保持しているのは伊藤匠王座です。日本将棋連盟の公式サイトによると、伊藤匠王座は第73期(2025年)に藤井聡太から王座を奪取しています。
日本経済新聞社が主催する伝統あるタイトル戦
王座戦は、日本経済新聞社が主催する将棋のタイトル戦です。1953年に一般棋戦として始まった歴史ある棋戦で、1983年の第31期からタイトル戦に格上げされています。
全棋士と女流棋士4名で行われます。一次予選、二次予選のトーナメント戦を行い、二次予選を勝ち抜いた棋士とシード棋士の16名によって、挑戦者決定トーナメントを行い、挑戦者を決めます。例年9月から10月にかけて王座と挑戦者が五番勝負を行います。
出典:日本将棋連盟「王座戦」
8大タイトルの一つ!優勝した棋士は「王座」に
王座戦で優勝した棋士は「王座」のタイトルを名乗ることとなり、1年間の「王座」を名乗ることになります。1年後には次のタイトル挑戦者が決まり、王座の保持者とタイトル挑戦者が戦い、勝った方が新しい「王座」となります。
王座戦の賞金は公表されていない
王座戦で優勝して新しい「王座」になった棋士には賞金が与えられますが、賞金額は公表されていません。他のタイトル戦の賞金額などから推定すると、数百万〜1千万円程度ではないかと考えられます。
王座戦の仕組み ― 一次予選から五番勝負まで
全棋士+女流棋士4名が参加!一次予選・二次予選・挑戦者決定トーナメントを実施
王座戦の全体の流れを図にまとめると、以下のようになります。

全棋士と女流棋士4名で行われます。一次予選、二次予選のトーナメント戦を行い、二次予選を勝ち抜いた棋士とシード棋士の16名によって、挑戦者決定トーナメントを行い、挑戦者を決めます。
出典:日本将棋連盟「王座戦」
王座戦の参加資格は、全ての棋士に加えて女流棋士4名となります。参加者は、一次予選・二次予選・挑戦者決定トーナメントを行い、勝ち上がった1名が王座保持者と次の王座の称号をかけて戦うことになります。
- 全棋士+女流棋士4名が参加
- 一次予選・二次予選・挑戦者決定トーナメント
- 勝ち上がった1名が王座に挑戦
一次予選は、持ち時間5時間!6名が勝ち上がり
一次予選は、持ち時間各5時間のトーナメント戦となります。第67期以降はチェスクロックで時間を計るルールになっています。
B級2組以上の棋士はシードで二次予選からの出場となるため、一次予選はC級1組以下の棋士と女流棋士4名でのトーナメントとなります。
二次予選は、持ち時間5時間!約10名が勝ち上がり
二次予選は、一次予選の勝ち上がり6名と、シード者を持ち時間各5時間のトーナメントで行います。二次予選のシードの条件は、以下になります。
- 順位戦B級2組以上の棋士
- 前期挑戦者決定トーナメント出場者
- 全棋士参加棋戦の優勝者
- 過去1年のタイトル保持者or挑戦者
- 前期一次予選突破者で、二次予選1回以上勝利者
勝ち上がり人数は、挑戦者決定トーナメント出場者が計16名になるよう調整されます。挑戦者決定トーナメントのシード者の人数によって異なりますが、例年10名前後となります。
挑戦者決定トーナメントは、持ち時間5時間!勝ち上がった1名が挑戦者に!
挑戦者決定トーナメントは、二次予選を勝ち上がった棋士と、シード者を持ち時間各5時間のトーナメントで行います。挑戦者決定トーナメントのシード条件は以下となります。
- 前期ベスト4
- タイトル保持者
勝ち上がった1名が、王座への挑戦権を得ることになります。
王座戦のルール ― 五番勝負のタイトル戦
- タイトル戦は五番勝負
- 持ち時間は各5時間(チェスクロック使用)
- 連続5期もしくは通算10期で名誉王座
王座保持者と挑戦者の五番勝負!
王座戦の予選を勝ち上がって挑戦者となった棋士は、現在の王座保持者と五番勝負をすることになります。五番勝負となるので、先に3勝した方がタイトル獲得者となるわけです。
例年9月から10月にかけて王座と挑戦者が五番勝負を行います。
出典:日本将棋連盟「王座戦」
持ち時間は5時間!チェスクロック使用
王座戦の持ち時間は各5時間になります。王座戦では、タイトル戦(五番勝負)・挑戦者決定トーナメント・一次予選・二次予選の全てで持ち時間が5時間に統一されています。
タイトル戦・挑戦者決定トーナメント・一次予選・二次予選:5時間(チェスクロック使用)
出典:日本将棋連盟「王座戦」
また、持ち時間の計測はチェスクロック方式となっています。
名誉王座 ― 連続5期もしくは通算10期で獲得
「永世」ではなく「名誉王座」
他のタイトル戦では永世称号(永世竜王、永世名人など)が設けられていますが、王座戦の場合は「永世」ではなく「名誉王座」という称号になります。連続5期もしくは通算10期以上王座になった棋士は、「名誉王座」の資格を得ることができます。名誉王座の資格を得た棋士は、基本的には引退する際に名誉王座を名乗ることができます。
名誉王座 連続5期もしくは通算10期保持
名誉王座の資格保持者
名誉王座の資格を持つのは以下の2人です。なお、名誉王座の獲得期数には、タイトル戦に格上げされる前の第1期から第30期も含まれます。
- 中原誠十六世名人 ― 通算6期(第17期〜第22期の連続6期を含む)。1973年の第21期から1978年の第26期にかけて圧倒的な強さを見せました。
- 羽生善治九段 ― 通算24期(第40期〜第58期の19連覇を含む)。王座戦を圧倒的に支配し、19連覇という全タイトル戦を通じても史上最長の連覇記録を打ち立てました。
歴代の王座は?有名な棋士まとめ
羽生善治 ― 通算24期・19連覇の圧倒的記録
羽生善治は王座戦で通算24期という驚異的な記録を持つ棋士です。第40期(1992年)に初めて王座を獲得すると、そこから第58期(2010年)まで19連覇を達成。第59期(2011年)に渡辺明に敗れて一度は王座を失いますが、第60期(2012年)から第64期(2016年)まで再び5連覇を果たすなど、王座戦の歴史を語る上で欠かせない存在です(出典)。
藤井聡太 ― 八冠達成の舞台
藤井聡太は2023年(第71期)に永瀬拓矢から王座を奪取し、史上初の八冠独占を達成しました。当時、藤井聡太は竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖の7つのタイトルを保持しており、最後の1つであった王座を獲得したことで全八冠を制覇しました。翌第72期(2024年)も防衛に成功しましたが、第73期(2025年)に伊藤匠に敗れ、王座を失いました(出典)。
永瀬拓矢 ― 4期連続王座
永瀬拓矢は第67期(2019年)から第70期(2022年)まで4期連続で王座を保持しました。特に第67期では斎藤慎太郎から3勝0敗で王座を奪取し、初のタイトルを獲得しています(出典)。
中原誠 ― 王座戦の黎明期を支えた名棋士
中原誠は、タイトル戦に格上げされる前の王座戦(一般棋戦時代)で第17期(1969年)から第22期(1974年)まで6連覇を達成。タイトル戦格上げ後も第32期(1984年)から第36期(1988年)にかけて通算6期の王座を獲得し、王座戦の歴史に名を刻みました(出典)。
歴代王座一覧
王座戦(タイトル戦:1983年〜)の歴代王座を一覧にまとめます。(日本将棋連盟 王座戦ページより)
| 期 | 年度 | 王座 | スコア | 対戦相手 |
|---|---|---|---|---|
| 第73期 | 2025 | 伊藤匠 | 3-2 | 藤井聡太 |
| 第72期 | 2024 | 藤井聡太 | 3-0 | 永瀬拓矢 |
| 第71期 | 2023 | 藤井聡太 | 3-1 | 永瀬拓矢 |
| 第70期 | 2022 | 永瀬拓矢 | 3-1 | 豊島将之 |
| 第69期 | 2021 | 永瀬拓矢 | 3-1 | 木村一基 |
| 第68期 | 2020 | 永瀬拓矢 | 3-2 | 久保利明 |
| 第67期 | 2019 | 永瀬拓矢 | 3-0 | 斎藤慎太郎 |
| 第66期 | 2018 | 斎藤慎太郎 | 3-2 | 中村太地 |
| 第65期 | 2017 | 中村太地 | 3-1 | 羽生善治 |
| 第64期 | 2016 | 羽生善治 | 3-0 | 糸谷哲郎 |
| 第63期 | 2015 | 羽生善治 | 3-2 | 佐藤天彦 |
| 第62期 | 2014 | 羽生善治 | 3-2 | 豊島将之 |
| 第61期 | 2013 | 羽生善治 | 3-2 | 中村太地 |
| 第60期 | 2012 | 羽生善治 | 3-1 | 渡辺明 |
| 第59期 | 2011 | 渡辺明 | 3-0 | 羽生善治 |
| 第58期 | 2010 | 羽生善治 | 3-0 | 藤井猛 |
| 第57期 | 2009 | 羽生善治 | 3-0 | 山崎隆之 |
| 第56期 | 2008 | 羽生善治 | 3-0 | 木村一基 |
| 第55期 | 2007 | 羽生善治 | 3-0 | 久保利明 |
| 第54期 | 2006 | 羽生善治 | 3-0 | 佐藤康光 |
| 第53期 | 2005 | 羽生善治 | 3-0 | 佐藤康光 |
| 第52期 | 2004 | 羽生善治 | 3-1 | 森内俊之 |
| 第51期 | 2003 | 羽生善治 | 3-2 | 渡辺明 |
| 第50期 | 2002 | 羽生善治 | 3-0 | 佐藤康光 |
| 第49期 | 2001 | 羽生善治 | 3-1 | 久保利明 |
| 第48期 | 2000 | 羽生善治 | 3-2 | 藤井猛 |
| 第47期 | 1999 | 羽生善治 | 3-1 | 丸山忠久 |
| 第46期 | 1998 | 羽生善治 | 3-2 | 谷川浩司 |
| 第45期 | 1997 | 羽生善治 | 3-0 | 島朗 |
| 第44期 | 1996 | 羽生善治 | 3-0 | 島朗 |
| 第43期 | 1995 | 羽生善治 | 3-0 | 森けい二 |
| 第42期 | 1994 | 羽生善治 | 3-0 | 谷川浩司 |
| 第41期 | 1993 | 羽生善治 | 3-1 | 谷川浩司 |
| 第40期 | 1992 | 羽生善治 | 3-0 | 福崎文吾 |
| 第39期 | 1991 | 福崎文吾 | 3-2 | 谷川浩司 |
| 第38期 | 1990 | 谷川浩司 | 3-1 | 中原誠 |
| 第37期 | 1989 | 中原誠 | 3-2 | 青野照市 |
| 第36期 | 1988 | 中原誠 | 3-0 | 塚田泰明 |
| 第35期 | 1987 | 塚田泰明 | 3-2 | 中原誠 |
| 第34期 | 1986 | 中原誠 | 3-0 | 桐山清澄 |
| 第33期 | 1985 | 中原誠 | 3-1 | 谷川浩司 |
| 第32期 | 1984 | 中原誠 | 3-2 | 森安秀光 |
| 第31期 | 1983 | 中原誠 | 2-1 | 内藤國雄 |
王座戦の基本情報まとめ
| 正式名称 | 王座戦 |
|---|---|
| 主催 | 日本経済新聞社(出典) |
| 創設 | 1953年(一般棋戦)/1983年(タイトル戦に格上げ) |
| 賞金 | 非公表(推定数百万〜1千万円程度) |
| 番勝負 | 五番勝負(先に3勝で獲得) |
| 持ち時間 | 各5時間・チェスクロック使用(出典) |
| 開催時期 | 例年9月〜10月(出典) |
| 予選方式 | 一次予選→二次予選→挑戦者決定トーナメント |
| 永世称号 | 名誉王座(連続5期もしくは通算10期保持 / 出典) |
| 名誉王座保持者 | 中原誠・羽生善治 |






