今回の記事では、ヒューリック杯棋聖戦のルールや仕組みについて解説していきます。
目次
棋聖戦とは? ― 産経新聞社主催のタイトル戦
現在の棋聖は藤井聡太(2026年4月時点)
2026年4月現在、棋聖のタイトルを保持しているのは藤井聡太棋聖です。日本将棋連盟の公式サイトによると、藤井聡太棋聖は第91期(2020年)に渡辺明から棋聖を奪取して以降、第96期(2025年)まで6期連続防衛を達成しています。
産経新聞社が主催!産棋プロトーナメントから始まった歴史あるタイトル戦
棋聖戦は、産経新聞社が主催する将棋のタイトル戦で、特別協賛はヒューリック株式会社です。もともとは1954年に産棋プロトーナメント戦として始まり、その後「早指し王位決定戦」を経て、1962年に「棋聖戦」として新たにスタートしました。かつては年2回(前期・後期)開催されていましたが、1995年(第66期)以降は年1回の開催となっています。
全棋士と女流棋士2名で行います。一次予選・二次予選をトーナメントで行います。その勝ち上がり者とシード棋士の16名で決勝トーナメントを行います。その優勝者と棋聖が、例年6月から8月にかけて五番勝負を行います。
8大タイトルの一つ!優勝した棋士は「棋聖」に
棋聖戦で優勝した棋士は「棋聖」のタイトルを名乗ることとなり、1年間は「棋聖」を名乗ることになります。1年後には次のタイトル挑戦者が決まり、棋聖の保持者とタイトル挑戦者が戦い、勝った方が新しい「棋聖」となります。
棋聖戦の賞金は公表されていない
棋聖戦で優勝して新しい「棋聖」になった棋士には賞金が与えられますが、賞金額は公表されていません。他のタイトル戦の賞金額などから推定すると、数百万〜1千万円程度ではないかと考えられます。
棋聖戦の仕組み ― 一次予選から五番勝負まで
全棋士+女流棋士2名が参加!一次予選・二次予選・決勝トーナメントを実施
棋聖戦の全体の流れを図にまとめると、以下のようになります。

全棋士と女流棋士2名で行います。一次予選・二次予選をトーナメントで行います。その勝ち上がり者とシード棋士の16名で決勝トーナメントを行います。その優勝者と棋聖が、例年6月から8月にかけて五番勝負を行います。
棋聖戦の参加資格は、全ての棋士に加えて女流棋士2名となります。参加者は、一次予選・二次予選・決勝トーナメントを行い、決勝トーナメントの優勝者1名が棋聖保持者と次の棋聖の称号をかけて五番勝負を戦うことになります。
- 全棋士+女流棋士2名が参加
- 一次予選・二次予選・決勝トーナメント
- 決勝トーナメント優勝者1名が棋聖に挑戦
一次予選は、持ち時間1時間(チェスクロック使用)!
一次予選は、持ち時間各1時間のトーナメント戦となります。チェスクロックで時間を計るルールとなっており、他のタイトル戦の予選と比べると持ち時間が短めなのが特徴です。
一次予選:1時間(チェスクロック使用)
二次予選は、持ち時間3時間!
二次予選は、一次予選の勝ち上がり者と、シード棋士を持ち時間各3時間のトーナメントで行います。二次予選のシードの条件は、前期成績上位者やタイトル保持者などになります。
二次予選:3時間
決勝トーナメントは、持ち時間4時間!シード棋士と合わせて16名が参加
決勝トーナメントは、二次予選を勝ち上がった棋士と、シード棋士の合計16名による持ち時間各4時間のトーナメントで行います。決勝トーナメントで優勝した1名が、棋聖への挑戦権を得ることになります。
タイトル戦・決勝トーナメント戦:4時間
棋聖戦のルール ― 五番勝負のタイトル戦
- タイトル戦は五番勝負
- 持ち時間は各4時間
- 例年6月〜8月に開催
棋聖保持者と挑戦者の五番勝負!
棋聖戦の予選・決勝トーナメントを勝ち上がって挑戦者となった棋士は、現在の棋聖保持者と五番勝負をすることになります。五番勝負となるので、先に3勝した方がタイトル獲得者となるわけです。
その優勝者と棋聖が、例年6月から8月にかけて五番勝負を行います。
持ち時間は4時間!
棋聖戦の五番勝負の持ち時間は各4時間になります。タイトル戦としては比較的短い持ち時間で、1日で決着がつきます。名人戦や竜王戦が各8〜9時間の2日制であるのに比べると、よりスピーディーな展開が特徴です。
永世棋聖 ― 通算5期以上で獲得
通算5期以上で永世棋聖の資格を得られる
通算5期以上棋聖になった棋士は、「永世棋聖」の資格を得ることができます。永世棋聖の資格を得た棋士は、原則として引退後に永世棋聖を名乗ることができます。
永世棋聖 通算5期保持
永世棋聖の資格保持者
永世棋聖の資格を持つのは以下の6人です(日本将棋連盟「永世称号についての規定」より)。
- 大山康晴(故人) ― 第1期(1962年)から棋聖戦を支配し、通算16期を獲得した将棋界の大巨人です。
- 中原誠十六世名人 ― 通算16期(第12期〜第35期にかけて多数獲得)。大山康晴と並ぶ棋聖戦の最多記録保持者です。
- 米長邦雄(故人) ― 通算7期を獲得。第44期(1984年)から第47期(1985年)にかけて4連覇を達成しました。
- 羽生善治九段 ― 通算16期を獲得。第62期(1993年)から第88期(2017年)にかけて長期にわたり棋聖の座を守り、大山・中原と並ぶ歴代最多タイの記録です。
- 佐藤康光九段 ― 通算6期(第73期〜第78期の6連覇)。2002年から2007年にかけて棋聖の座を守り続けました。
- 藤井聡太棋聖 ― 通算6期(第91期〜第96期で6連覇継続中)。2020年に17歳で初タイトルとして棋聖を獲得し、以降無敗で防衛を続けています。
歴代の棋聖は?有名な棋士まとめ
藤井聡太 ― 17歳で初タイトル獲得!史上最年少記録の舞台
藤井聡太は2020年の第91期棋聖戦で、当時の棋聖・渡辺明から3勝1敗でタイトルを奪取しました。当時17歳11か月での獲得は、屋敷伸之の持つ最年少タイトル獲得記録(18歳6か月)を30年ぶりに更新する快挙でした。この棋聖が藤井聡太にとって初めてのタイトルとなり、ここからタイトルを次々と獲得していく伝説の始まりとなりました。第96期(2025年)まで6期連続防衛を達成しています(出典)。
羽生善治 ― 通算16期の圧倒的記録
羽生善治は棋聖戦で通算16期を獲得し、大山康晴・中原誠と並ぶ歴代最多タイ記録を持ちます。第62期(1993年)に初の棋聖を獲得すると、第66期(1995年)まで5連覇。その後も第79期(2008年)から第88期(2017年)まで10連覇を達成するなど、長期にわたって棋聖の座を守り続けました(出典)。
大山康晴 ― 棋聖戦の初代王者
大山康晴は棋聖戦の第1期(1962年)に初代棋聖となり、通算16期を獲得しました。第1期から第9期まで9連覇を達成し、棋聖戦の黎明期を支配しました。その後も第24期から第30期にかけて再び棋聖の座に就くなど、長きにわたって棋聖戦の歴史に名を刻みました(出典)。
中原誠 ― 大山から棋聖を受け継いだ名棋士
中原誠は通算16期を獲得し、大山康晴と並ぶ記録を持ちます。第12期(1968年)に棋聖を獲得すると、大山康晴との世代交代を象徴する存在となりました。第31期(1977年)から第35期(1979年)にかけての5連覇など、安定した強さを見せました(出典)。
屋敷伸之 ― かつての最年少タイトル記録保持者
屋敷伸之は第56期(1990年)に18歳6か月で棋聖を獲得し、当時の最年少タイトル獲得記録を樹立しました。この記録は2020年に藤井聡太に破られるまで30年間にわたって保持されていました。棋聖は通算3期獲得しています(出典)。
歴代棋聖一覧
棋聖戦の歴代棋聖を一覧にまとめます。なお第65期(1994年後期)以前は年2回開催でした。(日本将棋連盟 棋聖戦ページより)
| 期 | 年度 | 棋聖 | スコア | 対戦相手 |
|---|---|---|---|---|
| 第96期 | 2025 | 藤井聡太 | 3-0 | 杉本和陽 |
| 第95期 | 2024 | 藤井聡太 | 3-0 | 山崎隆之 |
| 第94期 | 2023 | 藤井聡太 | 3-1 | 佐々木大地 |
| 第93期 | 2022 | 藤井聡太 | 3-1 | 永瀬拓矢 |
| 第92期 | 2021 | 藤井聡太 | 3-0 | 渡辺明 |
| 第91期 | 2020 | 藤井聡太 | 3-1 | 渡辺明 |
| 第90期 | 2019 | 渡辺明 | 3-1 | 豊島将之 |
| 第89期 | 2018 | 豊島将之 | 3-2 | 羽生善治 |
| 第88期 | 2017 | 羽生善治 | 3-1 | 斎藤慎太郎 |
| 第87期 | 2016 | 羽生善治 | 3-2 | 永瀬拓矢 |
| 第86期 | 2015 | 羽生善治 | 3-1 | 豊島将之 |
| 第85期 | 2014 | 羽生善治 | 3-0 | 森内俊之 |
| 第84期 | 2013 | 羽生善治 | 3-1 | 渡辺明 |
| 第83期 | 2012 | 羽生善治 | 3-0 | 中村太地 |
| 第82期 | 2011 | 羽生善治 | 3-0 | 深浦康市 |
| 第81期 | 2010 | 羽生善治 | 3-0 | 深浦康市 |
| 第80期 | 2009 | 羽生善治 | 3-2 | 木村一基 |
| 第79期 | 2008 | 羽生善治 | 3-2 | 佐藤康光 |
| 第78期 | 2007 | 佐藤康光 | 3-1 | 渡辺明 |
| 第77期 | 2006 | 佐藤康光 | 3-0 | 鈴木大介 |
| 第76期 | 2005 | 佐藤康光 | 3-2 | 羽生善治 |
| 第75期 | 2004 | 佐藤康光 | 3-0 | 森内俊之 |
| 第74期 | 2003 | 佐藤康光 | 3-0 | 丸山忠久 |
| 第73期 | 2002 | 佐藤康光 | 3-2 | 郷田真隆 |
| 第72期 | 2001 | 郷田真隆 | 3-2 | 羽生善治 |
| 第71期 | 2000 | 羽生善治 | 3-2 | 谷川浩司 |
| 第70期 | 1999 | 谷川浩司 | 3-0 | 郷田真隆 |
| 第69期 | 1998 | 郷田真隆 | 3-0 | 屋敷伸之 |
| 第68期 | 1997 | 屋敷伸之 | 3-1 | 三浦弘行 |
| 第67期 | 1996 | 三浦弘行 | 3-2 | 羽生善治 |
| 第66期 | 1995 | 羽生善治 | 3-0 | 三浦弘行 |
| 第65期 | 1994後 | 羽生善治 | 3-0 | 島朗 |
| 第64期 | 1994前 | 羽生善治 | 3-1 | 谷川浩司 |
| 第63期 | 1993後 | 羽生善治 | 3-2 | 谷川浩司 |
| 第62期 | 1993前 | 羽生善治 | 3-1 | 谷川浩司 |
| 第61期 | 1992後 | 谷川浩司 | 3-0 | 郷田真隆 |
| 第60期 | 1992前 | 谷川浩司 | 3-1 | 郷田真隆 |
| 第59期 | 1991後 | 谷川浩司 | 3-0 | 南芳一 |
| 第58期 | 1991前 | 南芳一 | 3-2 | 屋敷伸之 |
| 第57期 | 1990後 | 屋敷伸之 | 3-1 | 森下卓 |
| 第56期 | 1990前 | 屋敷伸之 | 3-2 | 中原誠 |
| 第55期 | 1989後 | 中原誠 | 3-2 | 屋敷伸之 |
| 第54期 | 1989前 | 中原誠 | 3-1 | 南芳一 |
| 第53期 | 1988後 | 中原誠 | 3-2 | 田中寅彦 |
| 第52期 | 1988前 | 田中寅彦 | 3-2 | 南芳一 |
| 第51期 | 1987後 | 南芳一 | 3-0 | 桐山清澄 |
| 第50期 | 1987前 | 桐山清澄 | 3-0 | 西村一義 |
| 第49期 | 1986後 | 桐山清澄 | 3-1 | 南芳一 |
| 第48期 | 1986前 | 桐山清澄 | 3-1 | 米長邦雄 |
| 第47期 | 1985後 | 米長邦雄 | 3-0 | 中村修 |
| 第46期 | 1985前 | 米長邦雄 | 3-1 | 勝浦修 |
| 第45期 | 1984後 | 米長邦雄 | 3-2 | 中村修 |
| 第44期 | 1984前 | 米長邦雄 | 3-0 | 谷川浩司 |
| 第43期 | 1983後 | 米長邦雄 | 3-1 | 森安秀光 |
| 第42期 | 1983前 | 森安秀光 | 3-2 | 中原誠 |
| 第41期 | 1982後 | 中原誠 | 3-1 | 森けい二 |
| 第40期 | 1982前 | 森けい二 | 3-0 | 二上達也 |
| 第39期 | 1981後 | 二上達也 | 3-0 | 加藤一二三 |
| 第38期 | 1981前 | 二上達也 | 3-0 | 中原誠 |
| 第37期 | 1980後 | 二上達也 | 3-1 | 米長邦雄 |
| 第36期 | 1980前 | 米長邦雄 | 3-1 | 中原誠 |
| 第35期 | 1979後 | 中原誠 | 3-0 | 淡路仁茂 |
| 第34期 | 1979前 | 中原誠 | 3-1 | 加藤一二三 |
| 第33期 | 1978後 | 中原誠 | 3-1 | 二上達也 |
| 第32期 | 1978前 | 中原誠 | 3-0 | 有吉道夫 |
| 第31期 | 1977後 | 中原誠 | 3-2 | 大山康晴 |
| 第30期 | 1977前 | 大山康晴 | 3-1 | 森けい二 |
| 第29期 | 1976後 | 大山康晴 | 3-2 | 米長邦雄 |
| 第28期 | 1976前 | 大山康晴 | 3-1 | 桐山清澄 |
| 第27期 | 1975後 | 大山康晴 | 3-0 | 二上達也 |
| 第26期 | 1975前 | 大山康晴 | 3-1 | 二上達也 |
| 第25期 | 1974後 | 大山康晴 | 3-0 | 米長邦雄 |
| 第24期 | 1974前 | 大山康晴 | 3-1 | 内藤國雄 |
| 第23期 | 1973後 | 内藤國雄 | 3-2 | 米長邦雄 |
| 第22期 | 1973前 | 米長邦雄 | 3-1 | 有吉道夫 |
| 第21期 | 1972後 | 有吉道夫 | 3-2 | 中原誠 |
| 第20期 | 1972前 | 中原誠 | 3-1 | 内藤國雄 |
| 第19期 | 1971後 | 中原誠 | 3-1 | 二上達也 |
| 第18期 | 1971前 | 中原誠 | 3-1 | 大山康晴 |
| 第17期 | 1970後 | 中原誠 | 3-0 | 大山康晴 |
| 第16期 | 1970前 | 大山康晴 | 3-1 | 内藤國雄 |
| 第15期 | 1969後 | 内藤國雄 | 3-1 | 中原誠 |
| 第14期 | 1969前 | 中原誠 | 3-0 | 山田道美 |
| 第13期 | 1968後 | 中原誠 | 3-1 | 大山康晴 |
| 第12期 | 1968前 | 中原誠 | 3-1 | 山田道美 |
| 第11期 | 1967後 | 山田道美 | 3-2 | 中原誠 |
| 第10期 | 1967前 | 山田道美 | 3-1 | 大山康晴 |
| 第9期 | 1966後 | 大山康晴 | 3-0 | 二上達也 |
| 第8期 | 1966前 | 二上達也 | 3-1 | 大山康晴 |
| 第7期 | 1965後 | 大山康晴 | 3-2 | 二上達也 |
| 第6期 | 1965前 | 大山康晴 | 3-2 | 升田幸三 |
| 第5期 | 1964後 | 大山康晴 | 3-0 | 本間爽悦 |
| 第4期 | 1964前 | 大山康晴 | 3-2 | 関根茂 |
| 第3期 | 1963後 | 大山康晴 | 3-1 | 升田幸三 |
| 第2期 | 1963前 | 大山康晴 | 3-0 | 二上達也 |
| 第1期 | 1962後 | 大山康晴 | 3-1 | 塚田正夫 |
棋聖戦の基本情報まとめ
| 正式名称 | ヒューリック杯棋聖戦 |
|---|---|
| 主催 | 産経新聞社(出典) |
| 特別協賛 | ヒューリック株式会社(出典) |
| 創設 | 1962年(前身の産棋プロトーナメント戦は1954年) |
| 賞金 | 非公表 |
| 番勝負 | 五番勝負(先に3勝で獲得)(出典) |
| 持ち時間 | タイトル戦・決勝T:各4時間 / 二次予選:各3時間 / 一次予選:各1時間(チェスクロック)(出典) |
| 開催時期 | 例年6月〜8月(出典) |
| 参加資格 | 全棋士+女流棋士2名(出典) |
| 予選方式 | 一次予選→二次予選→決勝トーナメント(16名) |
| 永世称号 | 永世棋聖(通算5期保持 / 出典) |
| 永世棋聖保持者 | 大山康晴・中原誠・米長邦雄・羽生善治・佐藤康光・藤井聡太(出典) |





