今回の記事では、王位戦のルールや仕組みについて解説していきます。
目次
王位戦とは? — 新聞三社連合が主催する伝統のタイトル戦
現在の王位は藤井聡太(2026年4月時点)
2026年4月現在、王位のタイトルを保持しているのは藤井聡太王位です。日本将棋連盟の公式サイトによると、藤井聡太王位は第61期(2020年)から第66期(2025年)まで6期連続で王位を保持しています。
ブロック紙3紙が主催する伝統あるタイトル戦
王位戦は、北海道新聞社、東京新聞(中日新聞)、神戸新聞社、徳島新聞社、西日本新聞社からなる新聞三社連合が主催するタイトル戦です。特別協賛は株式会社伊藤園で、正式名称は「伊藤園お〜いお茶杯王位戦」となっています。
新聞三社連合(北海道新聞、東京新聞(中日新聞)、神戸新聞、徳島新聞、西日本新聞)が主催しています。全棋士と女流棋士2名が参加。
出典:日本将棋連盟「王位戦」
王位戦は1960年に第1期が開催され、8大タイトル戦の中でも長い歴史を持つタイトル戦の一つです。
8大タイトルの一つ!優勝した棋士は「王位」に
王位戦で優勝した棋士は「王位」のタイトルを名乗ることとなり、1年間の「王位」を名乗ることになります。1年後には次のタイトル挑戦者が決まり、王位の保持者とタイトル挑戦者が戦います。勝った方が新しい「王位」となります。
タイトル戦は七番勝負!全国各地の旅館や寺院で
王位戦では、タイトル保持者と挑戦者が七番勝負を行います。対局は全国各地の旅館や寺院で行われ、主催の各新聞社の掲載エリアで実施されます。
王位戦の賞金は公表されていない
王位戦で優勝して新しい「王位」になった棋士には賞金が与えられますが、賞金額は公表されていません。基本的にタイトル戦の賞金額は公表されていませんが、竜王戦の賞金や他の棋戦の優勝賞金などから、推定で約1,000万円前後ではないかと言われています。
王位戦の仕組み — 紅白リーグから七番勝負へ
全棋士+女流棋士2名が参加!予選トーナメントと紅白リーグを実施
王位戦の全体の流れを図にまとめると、以下のようになります。

全棋士と女流棋士2名が参加。予選トーナメント後、シード棋士4人を含めた紅白2ブロックのリーグ戦を実施。各ブロック優勝者による挑戦者決定戦を経て、王位との七番勝負が行われます。
出典:日本将棋連盟「王位戦」
王位戦の参加資格は、全ての棋士に加えて女流棋士2名となります。参加者はまず予選トーナメントを行い、勝ち上がった棋士が挑戦者決定リーグに進みます。また、前期で挑戦者決定リーグの上位4名になった者は、シードで予選トーナメントを免除されます。
他のタイトル戦と異なる点として、挑戦者を決めるリーグ戦が紅組と白組に分かれていることが挙げられます。紅組と白組の優勝者は挑戦者決定戦を行い、勝った方が王位への挑戦権を得ることができます。
- 全棋士+女流棋士2名が参加
- 予選トーナメント→紅白リーグ→挑戦者決定戦
- 紅組と白組の優勝者が対局し、勝者が王位に挑戦
予選トーナメントは、各組の優勝者が紅白リーグへ
予選は、持ち時間各4時間のトーナメント戦となります。複数の組に分かれてトーナメントを行い、各組の優勝者が挑戦者決定リーグに進みます。
前期で挑戦者決定リーグの上位4名になった者は、シードで予選トーナメントを免除され、直接リーグ戦に参加できます。
挑戦者決定リーグは、紅白に分かれて総当たり!
予選を勝ち上がった棋士とシードの4名は、それぞれ紅組と白組のリーグに分かれて挑戦者決定リーグで戦います。紅組と白組でそれぞれ持ち時間各4時間での総当たり戦を行い、各組の優勝者は挑戦者決定戦に進みます。
挑戦者決定戦は1局のみで、勝った方が王位への挑戦権を得ます。
王位戦のルール — 七番勝負・持ち時間8時間の2日制
- タイトル戦は七番勝負
- 持ち時間は各8時間・2日制
- 例年7月〜9月に開催
王位保持者と挑戦者の七番勝負!
王位戦の予選を勝ち上がって挑戦者となった棋士は、現在の王位保持者と七番勝負をすることになります。七番勝負となるので、先に4勝した方がタイトル獲得者となるわけです。
例年7月から9月にかけて王位と挑戦者が七番勝負を行います。
出典:日本将棋連盟「王位戦」
持ち時間は8時間!2日制のタイトル戦
王位戦七番勝負の持ち時間は各8時間で、1局を2日かけて行います。1日目の終わりには封じ手を行います。
持ち時間はタイトル戦が8時間、挑戦者決定リーグ・予選は4時間。
出典:日本将棋連盟「王位戦」
封じ手とは、1日目の最後の1手を実際には指さずに、紙に指し手を書いて封筒に入れ記録係に渡すシステムです。これにより、1日目と2日目の間に手番の対局者が次の手を考えて有利になることを防いでいます。
永世王位 — 連続5期もしくは通算10期保持
永世王位の条件とは?
王位を通算10期、もしくは連続5期保持した棋士は、永世王位の資格を得ることができます。永世王位の資格を得た棋士は、基本的には引退する際に永世王位を名乗ることができます。
永世王位 連続5期もしくは通算10期保持
永世王位の資格保持者
永世王位の資格を持つのは以下の4人です。
- 大山康晴十五世名人 — 第1期(1960年)から第12期(1971年)まで12連覇を含む通算12期
- 中原誠十六世名人 — 第13期(1972年)以降、通算8期(連続6期を含む)
- 羽生善治九段 — 第34期(1993年)以降、通算18期(連続9期を含む)
- 藤井聡太王位 — 第61期(2020年)から6期連続で保持中
歴代の王位は?有名な棋士まとめ
藤井聡太 — 史上最年少王位、6連覇達成
藤井聡太は2020年(第61期)、17歳で木村一基王位を4勝0敗で破り、史上最年少で王位を獲得しました。その後、豊島将之九段(第62期・63期)、佐々木大地七段(第64期)、渡辺明九段(第65期)、永瀬拓矢九段(第66期)の挑戦を退け、王位6連覇を達成しています(出典)。
藤井聡太は王位だけでなく、2023年に王座を獲得して史上初の八冠独占を達成したことでも知られています。
羽生善治 — 通算18期の圧倒的な記録
羽生善治は王位戦で通算18期という驚異的な記録を持つ棋士です。第34期(1993年)に初めて王位を獲得し、第42期(2001年)まで9連覇を達成。その後も第45期(2004年)から第47期(2006年)の3連覇、第52期(2011年)から第58期(2017年)までの7連覇など、長期にわたって王位戦を席巻しました(出典)。
大山康晴 — 第1期から12連覇の伝説
大山康晴は王位戦の歴史において伝説的な存在です。1960年の第1期王位戦で初代王位に輝くと、そこから第12期(1971年)まで12連覇を達成しました。王位戦の黎明期を一人で支えたといっても過言ではありません(出典)。
中原誠 — 大山時代を終わらせた名棋士
中原誠は第13期(1972年)に大山康晴の連覇を阻止して王位を獲得し、新たな時代を切り開きました。第14期(1973年)から第19期(1978年)まで6連覇を果たすなど、通算8期の王位を獲得しています(出典)。
歴代王位一覧
王位戦(1960年〜)の歴代王位を一覧にまとめます。(日本将棋連盟 王位戦ページより)
| 期 | 年度 | 王位 | スコア | 対戦相手 |
|---|---|---|---|---|
| 第1期 | 1960 | 大山康晴 | 4-1 | 塚田正夫 |
| 第2期 | 1961 | 大山康晴 | 4-1 | 丸田祐三 |
| 第3期 | 1962 | 大山康晴 | 4-0 | 花村元司 |
| 第4期 | 1963 | 大山康晴 | 4-2 | 加藤一二三 |
| 第5期 | 1964 | 大山康晴 | 4-2 | 二上達也 |
| 第6期 | 1965 | 大山康晴 | 4-0 | 佐藤大五郎 |
| 第7期 | 1966 | 大山康晴 | 4-1 | 有吉道夫 |
| 第8期 | 1967 | 大山康晴 | 4-1 | 大内延介 |
| 第9期 | 1968 | 大山康晴 | 4-2 | 有吉道夫 |
| 第10期 | 1969 | 大山康晴 | 4-2 | 西村一義 |
| 第11期 | 1970 | 大山康晴 | 4-1 | 米長邦雄 |
| 第12期 | 1971 | 大山康晴 | 4-3 | 中原誠 |
| 第13期 | 1972 | 内藤國雄 | 4-1 | 大山康晴 |
| 第14期 | 1973 | 中原誠 | 4-0 | 内藤國雄 |
| 第15期 | 1974 | 中原誠 | 4-2 | 米長邦雄 |
| 第16期 | 1975 | 中原誠 | 4-2 | 内藤國雄 |
| 第17期 | 1976 | 中原誠 | 4-2 | 勝浦修 |
| 第18期 | 1977 | 中原誠 | 4-2 | 米長邦雄 |
| 第19期 | 1978 | 中原誠 | 4-1 | 大山康晴 |
| 第20期 | 1979 | 米長邦雄 | 4-3 | 中原誠 |
| 第21期 | 1980 | 中原誠 | 4-0 | 米長邦雄 |
| 第22期 | 1981 | 中原誠 | 4-3 | 大山康晴 |
| 第23期 | 1982 | 内藤國雄 | 4-2 | 中原誠 |
| 第24期 | 1983 | 高橋道雄 | 4-2 | 内藤國雄 |
| 第25期 | 1984 | 加藤一二三 | 4-3 | 高橋道雄 |
| 第26期 | 1985 | 高橋道雄 | 4-0 | 加藤一二三 |
| 第27期 | 1986 | 高橋道雄 | 4-0 | 米長邦雄 |
| 第28期 | 1987 | 谷川浩司 | 4-1 | 高橋道雄 |
| 第29期 | 1988 | 森けい二 | 4-3 | 谷川浩司 |
| 第30期 | 1989 | 谷川浩司 | 4-1 | 森けい二 |
| 第31期 | 1990 | 谷川浩司 | 4-3 | 佐藤康光 |
| 第32期 | 1991 | 谷川浩司 | 4-2 | 中田宏樹 |
| 第33期 | 1992 | 郷田真隆 | 4-2 | 谷川浩司 |
| 第34期 | 1993 | 羽生善治 | 4-0 | 郷田真隆 |
| 第35期 | 1994 | 羽生善治 | 4-3 | 郷田真隆 |
| 第36期 | 1995 | 羽生善治 | 4-2 | 郷田真隆 |
| 第37期 | 1996 | 羽生善治 | 4-1 | 深浦康市 |
| 第38期 | 1997 | 羽生善治 | 4-1 | 佐藤康光 |
| 第39期 | 1998 | 羽生善治 | 4-2 | 佐藤康光 |
| 第40期 | 1999 | 羽生善治 | 4-0 | 谷川浩司 |
| 第41期 | 2000 | 羽生善治 | 4-3 | 谷川浩司 |
| 第42期 | 2001 | 羽生善治 | 4-0 | 屋敷伸之 |
| 第43期 | 2002 | 谷川浩司 | 4-1 | 羽生善治 |
| 第44期 | 2003 | 谷川浩司 | 4-1 | 羽生善治 |
| 第45期 | 2004 | 羽生善治 | 4-1 | 谷川浩司 |
| 第46期 | 2005 | 羽生善治 | 4-3 | 佐藤康光 |
| 第47期 | 2006 | 羽生善治 | 4-2 | 佐藤康光 |
| 第48期 | 2007 | 深浦康市 | 4-3 | 羽生善治 |
| 第49期 | 2008 | 深浦康市 | 4-3 | 羽生善治 |
| 第50期 | 2009 | 深浦康市 | 4-3 | 木村一基 |
| 第51期 | 2010 | 広瀬章人 | 4-2 | 深浦康市 |
| 第52期 | 2011 | 羽生善治 | 4-3 | 広瀬章人 |
| 第53期 | 2012 | 羽生善治 | 4-1 | 藤井猛 |
| 第54期 | 2013 | 羽生善治 | 4-1 | 行方尚史 |
| 第55期 | 2014 | 羽生善治 | 4(1持)2 | 木村一基 |
| 第56期 | 2015 | 羽生善治 | 4-1 | 広瀬章人 |
| 第57期 | 2016 | 羽生善治 | 4-3 | 木村一基 |
| 第58期 | 2017 | 菅井竜也 | 4-1 | 羽生善治 |
| 第59期 | 2018 | 豊島将之 | 4-3 | 菅井竜也 |
| 第60期 | 2019 | 木村一基 | 4-3 | 豊島将之 |
| 第61期 | 2020 | 藤井聡太 | 4-0 | 木村一基 |
| 第62期 | 2021 | 藤井聡太 | 4-1 | 豊島将之 |
| 第63期 | 2022 | 藤井聡太 | 4-1 | 豊島将之 |
| 第64期 | 2023 | 藤井聡太 | 4-1 | 佐々木大地 |
| 第65期 | 2024 | 藤井聡太 | 4-1 | 渡辺明 |
| 第66期 | 2025 | 藤井聡太 | 4-2 | 永瀬拓矢 |
王位戦の基本情報まとめ
| 正式名称 | 伊藤園お〜いお茶杯王位戦 |
|---|---|
| 主催 | 新聞三社連合(北海道新聞、東京新聞、中日新聞、神戸新聞、徳島新聞、西日本新聞)(出典) |
| 特別協賛 | 株式会社伊藤園(出典) |
| 創設 | 1960年(第1期) |
| 賞金 | 非公表(推定約1,000万円前後) |
| 番勝負 | 七番勝負(先に4勝で獲得) |
| 持ち時間 | 各8時間・2日制(出典) |
| 開催時期 | 例年7月〜9月(出典) |
| 予選方式 | 予選トーナメント→紅白リーグ→挑戦者決定戦 |
| 永世称号 | 永世王位(連続5期もしくは通算10期保持 / 出典) |
| 永世称号保持者 | 大山康晴・中原誠・羽生善治・藤井聡太 |






