プロ棋士

棋王戦とは?ルールと仕組み

投稿日: 08/12/2020 更新日:

キャラクターイラスト:さゆ吉様

歩美

将棋のタイトル戦って色々ありますよね。棋王戦ってどんなタイトル戦なんですか?

香介

棋王戦は共同通信社が主催するタイトル戦だよ!「2敗失格制」や「変則2番勝負」といった独特の仕組みが特徴なんだ。今回は棋王戦の仕組みやルール、歴代の棋王について解説するよ!

今回の記事では、棋王戦のルールや仕組みについて解説していきます。

将棋のタイトル戦一覧へ

棋王戦とは? ― 共同通信社主催のタイトル戦

現在の棋王は藤井聡太(2026年4月時点)

2026年4月現在、棋王のタイトルを保持しているのは藤井聡太棋王です。日本将棋連盟の公式サイトによると、藤井聡太棋王は第48期(2022年)に渡辺明から棋王を奪取し、第51期(2025年)まで4期連続で防衛しています。

歩美

藤井聡太さんが現在の棋王なんですね!棋王戦にはどんな歴史があるんですか?

前身は最強者決定戦!1975年から始まったタイトル戦

棋王戦は、共同通信社が主催する将棋のタイトル戦です。1961年に始まった「最強者決定戦」が前身で、1975年に「棋王戦」としてタイトル戦に格上げされました。現在はコナミホールディングス株式会社が特別協賛しており、正式名称は「棋王戦コナミグループ杯」です。

予選をトーナメントで行い、その通過者とシード者で本戦トーナメントを行います。本戦はベスト4以上は2敗失格制となり、敗者復活戦があります。挑戦者決定戦は変則2番勝負で、勝者組優勝者は2局のうち1回勝てば挑戦権を得ますが、敗者復活戦優勝者は2連勝が挑戦の条件となります。棋王とその優勝者が例年2月から3月にかけて五番勝負を行います。

出典:日本将棋連盟「棋王戦」

歩美

1961年からの歴史があるんですね!途中からタイトル戦になったんだ!

8大タイトルの一つ!優勝した棋士は「棋王」に

棋王戦で優勝した棋士は「棋王」のタイトルを名乗ることとなり、1年間の「棋王」を名乗ることになります。1年後には次のタイトル挑戦者が決まり、棋王の保持者とタイトル挑戦者が戦い、勝った方が新しい「棋王」となります。

香介

1年に一度、棋王の保持者と挑戦者が戦うことになるんだ!勝った方がその後1年間は新しい棋王になる!

棋王戦の賞金は公表されていない

棋王戦で優勝して新しい「棋王」になった棋士には賞金が与えられますが、賞金額は公表されていません。他のタイトル戦の賞金額などから推定すると、数百万〜1千万円程度ではないかと考えられます。

 

ゼロから始める将棋道場

ゼロから始める将棋道場

無料posted withアプリーチ

棋王戦の仕組み ― 予選から五番勝負まで

全棋士+女流棋士+アマ名人が参加!予選トーナメント・挑戦者決定トーナメントを実施

棋王戦の全体の流れを図にまとめると、以下のようになります。

棋王戦の全体の流れ(予選→挑戦者決定トーナメント→変則2番勝負→五番勝負)

予選をトーナメントで行い、その通過者とシード者で本戦トーナメントを行います。本戦はベスト4以上は2敗失格制となり、敗者復活戦があります。

出典:日本将棋連盟「棋王戦」

棋王戦の参加資格は、全ての棋士に加えて女流棋士とアマ名人となります。参加者は、予選トーナメント・挑戦者決定トーナメント・挑戦者決定戦を行い、勝ち上がった1名が棋王保持者と次の棋王の称号をかけて戦うことになります。

POINT

  • 全棋士+女流棋士+アマ名人が参加
  • 予選トーナメント・挑戦者決定トーナメント・挑戦者決定戦
  • 勝ち上がった1名が棋王に挑戦
香介

B級というのは棋士の順位のことだよ!順位については以下の記事を参考にしてみてね!

予選トーナメントは、持ち時間4時間!8名が勝ち上がり

予選トーナメントは、持ち時間各4時間(チェスクロック使用)のトーナメント戦となります。

B級1組以上の棋士はシードで挑戦者決定トーナメントからの出場となるため、予選はB級2組以下の棋士と女流棋士、アマ名人でのトーナメントとなります。

挑戦者決定トーナメントは、持ち時間4時間!ベスト4以上は「2敗失格制」

挑戦者決定トーナメントは、予選の勝ち上がり8名とシード者を持ち時間各4時間のトーナメントで行います。挑戦者決定トーナメントのシードの条件は、以下になります。

挑戦者決定トーナメントシード条件

  • 順位戦B級1組以上の棋士
  • 前期ベスト4以上
  • タイトル保持者
  • 前期の挑戦者

棋王戦の大きな特徴は、ベスト4以上で「2敗失格制」が導入されていることです。通常のトーナメントでは1回負けたら終わりですが、棋王戦ではベスト4以上の対局で敗れても、もう1回チャンスがある敗者復活戦が設けられています。

挑戦者決定トーナメントで勝ち上がった1名(勝者組優勝者)と、敗者復活戦で勝ち上がった1名が、挑戦者決定戦に進みます。

歩美

1回負けてもまだチャンスがあるんですね!他のタイトル戦にはない独特な仕組みですね!

挑戦者決定戦は「変則2番勝負」!勝者組に有利な条件

挑戦者決定戦は、棋王戦ならではの「変則2番勝負」で行われます。

挑戦者決定戦は変則2番勝負で、勝者組優勝者は2局のうち1回勝てば挑戦権を得ますが、敗者復活戦優勝者は2連勝が挑戦の条件となります。

出典:日本将棋連盟「棋王戦」

つまり、勝者組優勝者は2局のうち1勝すれば挑戦権獲得となり、一方で敗者復活戦優勝者は2連勝しなければ挑戦権を得られないという、勝者組に有利なルールになっています。

香介

敗者復活で上がってきた棋士には厳しい条件だけど、一度も負けていない棋士にアドバンテージがあるのは公平とも言えるよね!

 

棋王戦のルール ― 五番勝負のタイトル戦

POINT

  • タイトル戦は五番勝負
  • 持ち時間は各4時間
  • 連続5期で永世棋王

棋王保持者と挑戦者の五番勝負!

棋王戦の予選を勝ち上がって挑戦者となった棋士は、現在の棋王保持者と五番勝負をすることになります。五番勝負となるので、先に3勝した方がタイトル獲得者となるわけです。

棋王とその優勝者が例年2月から3月にかけて五番勝負を行います。

出典:日本将棋連盟「棋王戦」

持ち時間は4時間!

棋王戦の持ち時間は各4時間になります。棋王戦では、タイトル戦(五番勝負)・挑戦者決定トーナメント・予選のすべてで持ち時間が4時間に統一されています。

タイトル戦・挑戦者決定トーナメント4時間、予選4時間(チェスクロック使用)

出典:日本将棋連盟「棋王戦」

持ち時間の計測はチェスクロック方式となっています。4時間は8大タイトルの中では比較的短い持ち時間です。

香介

チェスクロック方式では、持ち時間の計測方法が少し異なるよ!詳しくは以下の記事を参考にしてみてね!

 

永世棋王 ― 連続5期で獲得

連続5期で永世棋王の資格を取得

棋王を連続5期以上保持した棋士は、「永世棋王」の資格を得ることができます。永世棋王の資格を得た棋士は、基本的には引退する際に永世棋王を名乗ることができます。

永世棋王 連続5期

出典:日本将棋連盟「永世称号についての規定」

他のタイトル戦では「通算○期」でも永世称号を取得できるものがありますが、棋王戦は「連続5期」のみが条件となっています。通算での取得はできないため、取得の難易度が高い永世称号の一つです。

歩美

「連続5期」だけなんですね!5年連続で防衛しないといけないから、すごく大変そう!

永世棋王の資格保持者

永世棋王の資格を持つのは以下の2人です。

  • 羽生善治九段 ― 第16期(1990年)から第24期(1998年)まで9連覇を達成し、永世棋王の資格を取得しました。棋王戦では通算13期を獲得しており、歴代最多記録です(出典)。
  • 渡辺明九段 ― 第38期(2012年)から第47期(2021年)まで10連覇を達成し、永世棋王の資格を取得しました。羽生善治の9連覇を上回る棋王戦最多連覇記録です(出典)。
香介

渡辺明さんの10連覇は本当にすごい記録だよ!羽生善治さんの9連覇も歴代屈指の記録なんだ。2人とも「連続5期」を大きく上回る成績で永世棋王を獲得しているね!

将棋のタイトル戦一覧へ

 

Sponsored link

歴代の棋王は?有名な棋士まとめ

渡辺明 ― 10連覇・通算11期の棋王

渡辺明は棋王戦で通算11期という圧倒的な記録を持つ棋士です。第38期(2012年)に郷田真隆から棋王を奪取すると、そこから第47期(2021年)まで10連覇を達成しました。第48期(2022年)に藤井聡太に敗れて棋王を失いましたが、棋王戦の歴史に大きな足跡を残しています(出典)。

藤井聡太 ― 4期連続防衛中(2026年4月時点)

藤井聡太は第48期(2022年)に渡辺明から棋王を奪取し、以降第51期(2025年)まで4期連続で防衛を続けています。藤井聡太はこの棋王獲得により六冠を達成し、その後の八冠独占へとつながりました(出典)。

羽生善治 ― 9連覇・通算13期の最多記録

羽生善治は棋王戦で通算13期(歴代最多)を獲得した棋士です。第16期(1990年)から第24期(1998年)まで9連覇を達成し、第25期で森内俊之に敗れました。その後も第26期(2000年)から第30期(2004年)まで5連覇を果たすなど、棋王戦の歴史を代表する存在です(出典)。

米長邦雄 ― 棋王戦の黎明期を支えた名棋士

米長邦雄は棋王戦の初期を支えた棋士です。第4期(1978年)で初めて棋王を獲得し、第6期(1980年)から第9期(1983年)まで4連覇を達成。通算5期の棋王を獲得しています(出典)。

香介

渡辺明さんの10連覇に加えて、羽生善治さんの通算13期も圧倒的な記録だね。永世棋王の資格を持つ2人が棋王戦の歴史を彩っているんだ。

 

歴代棋王一覧

棋王戦(1975年〜)の歴代棋王を一覧にまとめます。(日本将棋連盟 棋王戦ページより)

年度 棋王 スコア 対戦相手
第51期 2025 藤井聡太 3-2 増田康宏
第50期 2024 藤井聡太 3-0 増田康宏
第49期 2023 藤井聡太 3-0 伊藤匠
第48期 2022 藤井聡太 3-1 渡辺明
第47期 2021 渡辺明 3-1 永瀬拓矢
第46期 2020 渡辺明 3-1 糸谷哲郎
第45期 2019 渡辺明 3-1 本田奎
第44期 2018 渡辺明 3-1 広瀬章人
第43期 2017 渡辺明 3-2 永瀬拓矢
第42期 2016 渡辺明 3-2 千田翔太
第41期 2015 渡辺明 3-1 佐藤天彦
第40期 2014 渡辺明 3-0 羽生善治
第39期 2013 渡辺明 3-0 三浦弘行
第38期 2012 渡辺明 3-1 郷田真隆
第37期 2011 郷田真隆 3-1 久保利明
第36期 2010 久保利明 3-1 渡辺明
第35期 2009 久保利明 3-2 佐藤康光
第34期 2008 久保利明 3-2 佐藤康光
第33期 2007 佐藤康光 3-2 羽生善治
第32期 2006 佐藤康光 3-2 森内俊之
第31期 2005 森内俊之 3-1 羽生善治
第30期 2004 羽生善治 3-0 谷川浩司
第29期 2003 谷川浩司 3-1 丸山忠久
第28期 2002 丸山忠久 3-2 羽生善治
第27期 2001 羽生善治 3-1 佐藤康光
第26期 2000 羽生善治 3-1 久保利明
第25期 1999 羽生善治 3-1 森内俊之
第24期 1998 羽生善治 3-0 佐藤康光
第23期 1997 羽生善治 3-1 郷田真隆
第22期 1996 羽生善治 3-0 森下卓
第21期 1995 羽生善治 3-0 高橋道雄
第20期 1994 羽生善治 3-0 森下卓
第19期 1993 羽生善治 3-0 南芳一
第18期 1992 羽生善治 3-2 谷川浩司
第17期 1991 羽生善治 3-1 南芳一
第16期 1990 羽生善治 3-1 南芳一
第15期 1989 南芳一 3-0 大山康晴
第14期 1988 南芳一 3-2 谷川浩司
第13期 1987 谷川浩司 3-2 高橋道雄
第12期 1986 高橋道雄 3-1 谷川浩司
第11期 1985 谷川浩司 3-0 桐山清澄
第10期 1984 桐山清澄 3-1 米長邦雄
第9期 1983 米長邦雄 3-1 森安秀光
第8期 1982 米長邦雄 3-0 大山康晴
第7期 1981 米長邦雄 3-2 森安秀光
第6期 1980 米長邦雄 3-1 中原誠
第5期 1979 中原誠 3-1 米長邦雄
第4期 1978 米長邦雄 3-2 加藤一二三
第3期 1977 加藤一二三 3-0 中原誠
第2期 1976 加藤一二三 3-0 大内延介
第1期 1975 大内延介 三者リーグ
歩美

渡辺明さんが棋王に並んでいる量がすごいですね!

香介

渡辺明さんの10連覇は圧倒的だよね。さらに羽生善治さんも通算13期と、2人の永世棋王が歴代記録の上位を占めているんだ。

 

棋王戦の基本情報まとめ

正式名称 棋王戦コナミグループ杯(出典
主催 共同通信社(出典
特別協賛 コナミホールディングス株式会社(出典
創設 1961年(最強者決定戦)/1975年(棋王戦としてタイトル戦に格上げ)
賞金 非公表(推定数百万〜1千万円程度)
番勝負 五番勝負(先に3勝で獲得)
持ち時間 各4時間・チェスクロック使用(出典
開催時期 例年2月〜3月(出典
予選方式 予選トーナメント→挑戦者決定トーナメント(2敗失格制)→変則2番勝負
永世称号 永世棋王(連続5期 / 出典
永世棋王保持者 羽生善治・渡辺明

まとめ

香介

今回は棋王戦の仕組みについて解説したよ!「2敗失格制」や「変則2番勝負」という独特なルールが特徴のタイトル戦なんだ。渡辺明さんの10連覇、羽生善治さんの通算13期という圧倒的な記録も見どころだよ!

歩美

敗者復活戦があるのが面白いですね!藤井聡太さんが現在の棋王で、永世棋王に近づいているのも注目です!他のタイトル戦も気になります!

将棋のタイトル戦一覧へ


-プロ棋士

執筆者:

ゼロから始める将棋道場

ゼロから始める将棋道場

無料posted withアプリーチ

関連記事





  1. 天野宗歩 より:

    棋王戦
    敗者復活から
    棋王戴冠は
    達成未達ですよね?

  2. 天野宗歩 より:

    敗者復活枠
    4連勝で
    戴冠は丸山九段だけ

    4連勝挑戦者を
    列挙してほしい

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です



Kindle Unlimitedに登録すれば今なら30日間無料で棋書が読み放題!気になる棋書をチェック!

Kindle Unlimitedで読める棋書はこちら

Kindleで棋書が読み放題