今回の記事では、叡王戦のルールや仕組みについて解説していきます。
目次
叡王戦って?2017年から始まったドワンゴ主催のタイトル戦
ニコニコ動画のドワンゴ主催のタイトル戦、前進は電王戦
叡王戦は、ニコニコ動画などを手掛ける株式会社ドワンゴが主催する棋戦です。もともとは2015年に一般棋戦として始まりましたが、2017年からタイトル戦に格上げされました。
叡王戦の前身は、プロ棋士とAIが団体戦で戦う棋戦である「電王戦」です。2015年の電王戦FINALを受け、新しくプロ棋士対コンピューターの棋戦として始まったのが叡王戦です。
タイトル戦に格上げされる以前は、プロ棋士間での叡王トーナメントと、AI間での電王トーナメントが行われ、それぞれのトーナメントで優勝した叡王(=プロ棋士代表)と電王(=AI代表)が戦うというものでした。タイトル戦に格上げ後は、全プロ棋士が参加する棋戦になり、AIとの対局は行われないようになりました。
8大タイトルの一つ、叡王戦!勝った棋士は「叡王」に
叡王戦で勝った棋士は「叡王」のタイトルを獲得することとなり、1年間は「叡王」を名乗ることになります。1年後には次のタイトル挑戦者が決められ、現役の叡王とタイトル挑戦者が戦います。勝った方が新しい「叡王」となります。
叡王戦の賞金は公表されていない
叡王戦を勝ち抜いて新しい「叡王」になった棋士には賞金が与えられますが、賞金額は公表されていません。ただ、他のタイトル戦の賞金額や、叡王獲得棋士の年間賞金額の値などから推測すると、数2千万円程度ではないかと考えられます。
叡王戦の仕組み、参加資格は?
全棋士 + 女流棋士1名、アマチュア1名が参加!段位別予選と本戦トーナメントを行う
叡王戦の参加資格は、全ての棋士に加えて女流棋士1名とアマチュア代表1名となります。参加者は段位別予選を行い、予選を勝ち抜いたもので本選トーナメントが開催されます。本選トーナメントで勝利した1名がいよいよ叡王保持者と次の叡王の称号をかけて戦うことになります。
- 全棋士+女流1名、アマチュア1名が参加
- 段位別予選・本戦トーナメント
- 勝ち上がった1名が叡王に挑戦
段位別予選は、持ち時間1時間16人が勝ち上がり
段位別予選は、持ち時間1時間のトーナメント戦となります。チェスクロックで時間を計るのが特徴で、一般的な棋戦と比べると持ち時間が短めです。
ここから九段4名、八段3名、七段3名、六段3名、五段2名、四段1名の計16名が本選トーナメントに勝ち上がります。なお、女流とアマチュアの代表は四段の予選に組み込まれます。
本選トーナメントは、持ち時間3時間!勝てば挑戦者に
本選トーナメントは、段位別予選の勝ち上がり16名と、シード者8名の計24名で持ち時間3時間のトーナメントを行います。本選トーナメントでも、チェスクロック方式で時間を計ります。
シードの資格者は、前期叡王戦ベスト4以上、タイトル保持者(序列順)、NHK杯・朝日杯オープン戦・銀河戦の優勝者の順番に8名を決めます。上記でも8名に満たされなかった場合は、前期叡王戦の成績を鑑みて主催者がシード権者を協議します。
また、本選トーナメントの決勝戦では、三番勝負が行われます。先に2局勝った方が勝利となり、叡王への挑戦権を得られます。
叡王戦のルールは?七番勝負のタイトル戦
- タイトル戦は七番勝負
- 変則持ち時間、1・3・5・6時間
叡王保持者と挑戦者の七番勝負!
叡王戦の予選を勝ち上がって見事挑戦者となった棋士は、現役の叡王保持者と七番勝負をすることになります。七番勝負となるので、先に4回勝った方がタイトル獲得となるわけです。
持ち時間は変則ルール!1・3・5時間から選択
叡王戦の持ち時間は変則的なルールになります。
事前に行われた振り駒の結果を受け、第1局が先手になった方が第1局と第2局の持ち時間を1・3・5時間のうちから一つ選択します。第1局が後手になった方は、第3局と第4局の持ち時間を選ばれなかった2択のうちから一つ選択します。第5局と第6局の持ち時間は、1・3・5時間のうちまだ選ばれていないものになります。第7局の持ち時間は、6時間になります。
なお、どの持ち時間になってもチェスクロック方式で時間を計ります。
永世叡王って?
将棋のタイトルは、何期か同じタイトルを獲得すると永世称号を得ることができます。しかし、叡王は比較的新しいタイトル戦のため、まだ永世叡王の資格は規定されていません。