将棋では8種類の駒が使われ、それぞれ働きや役割が異なります。これらの駒の使い方を勉強すれば、棋力が向上すること間違いなしです。
今回は角行の基本的な使い方を解説し、さらに角行を使った手筋として「角での両取り」「筋違いの角打ち」「角と桂馬を組み合わせた攻め」「攻防の角」を紹介したいと思います。
角は攻めに、馬は守りに
「攻めは飛角銀桂」という格言があるように、角は基本的に攻め駒として使うのが一般的です。しかし角の成駒である馬は守りに使うとよい手が多いのです。一度敵陣に成った馬を自陣に引くことで、守備が固くなるのです。
たとえば図1-1のような局面を考えてみましょう。先手は舟囲いに組んでいます。

【図1-1 舟囲い】
ここで何も受けないと、次に△8六桂、▲同歩、△8七銀、▲同玉、△6九飛成と進み、舟囲いが一気に崩壊します。

【図1-2 舟囲いが崩壊】
図1-1からは敵陣にある馬を引き付け、▲7七馬とすれば囲いが強靭になり、後手からの速い攻めはなくなります。

【図1-3 馬は自陣に引け】
角行の手筋4つ
ここからは角行を使った手筋を紹介していきます。「角での両取り」「筋違いの角打ち」「角と桂馬を組み合わせた攻め」「攻防の角」の4つです。
角での両取り
角は動ける範囲が広い駒なので、その特徴を活かした両取りを仕掛けられる局面が多くなります。

【図2-1 角での両取り】
しかし、例えば図2-2のような両取りでは後手に受けがあるので注意が必要です。

【図2-2 角での両取りだが…】
ここから△3三角とすれば両取りを受けられてしまいます。

【図2-3 角を合わせられて受けられる】
筋違いの角打ち
下のような局面を考えてみましょう。初手から▲7六歩、△3四歩、▲2六歩、△3五歩、▲6八玉、△3二飛、▲2二角成、△同銀と進んだところです。実はこの局面から馬を作ることができるのですが、わかるでしょうか?

【図3-1 序盤から馬を作るには?】
図3-1から▲6五角と打てば、後手は次に▲4三角成とする手と▲8三角成とする手を同時に受けることができません。

【図3-2 筋違いの角打ち】
このように6五もしくは4五に打つ角を「筋違いの角」といいます。
なお、初手から▲7六歩、△3四歩、▲2二角成、△同銀、▲4五角といきなり筋違いに角を打つ戦法も存在し、戦法名はそのまま「筋違い角」と呼ばれています。

【図3-3 筋違い角】
角と桂馬を組み合わせた攻め
下のような局面を考えてみましょう。後手は美濃囲いに組んでいますが、実はここから3手で詰んでしまいます。

【図4-1 どのように攻める?】
図4-1から▲7四桂と打つのが正解です。後手はこの桂馬を△同歩と取ってしまいたいところですが、そうすると玉が角の効きに入ってしまうのです。

【図4-2 後手は桂馬をとれない】
図4-2からは後手玉がどこに逃げても▲8二金で詰みです。

【図4-3 どう応じても金打ちで詰み】
攻防の角
下の局面を考えてみます。次に△5八金と打たれると自玉が詰んでしまいまうので、何か受ける必要があります。

【図5-1 自玉に詰めろがかかっている】
ここでは▲7六角と打つ手が良い手になります。自玉の詰めろを防ぎつつ、次に▲3二角成とすれば相手玉が詰んでしまいます。このように受けにも攻めにも働くような角打ちを「攻防の角」といいます。角は動ける範囲の広い駒なので、このような攻防手が発生しやすいのです。

【図4-2 攻防の角打ち】
まとめ
将棋の上達には、手筋を多く覚えて実戦で使いこなすことは重要です。さらに多くの手筋を学びたいと思った方は、渡辺明先生監修の「将棋・ひと目の手筋」を一読されることをおすすめします。今回紹介した手筋はもちろん、他にも実戦で使える手筋が208も解説されています。
将棋・ひと目の手筋―初級の壁を突破する208問 (MYCOM将棋文庫SP)