将棋では8種類の駒が使われ、それぞれ働きや役割が異なります。これらの駒の使い方を勉強すれば、棋力が向上すること間違いなしです。
今回は飛車の基本的な使い方を解説し、さらに飛車を使った手筋として「十字飛車」「自陣への飛車打ち」「一間龍」「送りの手筋」を紹介したいと思います。
飛車は最強の攻め駒!序盤~中盤は龍を作ることを目指そう!
まずは、飛車とその成駒である龍の動きを確認しましょう。

【図1 飛車の動き】

【図2 龍の動き】
飛車は、とにかく動ける範囲が広いのが特徴です。攻めは「飛角銀桂で」という格言があるように、相手陣へ攻める駒として使われます。
特に、序盤~中盤にかけては、飛車を敵陣まで進めて龍に成らせることを目指しながら指していくとよいでしょう。
飛車を持ち駒にしたら敵陣に打つべし!
龍は非常に強力な攻め駒です。そのため対局中に飛車を持ち駒にしたら、まずは敵陣に打ち込むことを考えましょう。
飛車の手筋4つ
ここからは飛車(もしくは龍)を使った手筋を紹介していきます。「十字飛車」「自陣への飛車打ち」「一間龍」「送りの手筋」の4つです。
十字飛車
下図のような飛車を使った両取りの手筋を「十字飛車」といいます。

【図3 十字飛車】
実戦に近い例として、以下のような局面を考えてみましょう。先手は持ち駒に歩を2枚持っているところに注目してください。

【図4 十字飛車の例、歩を2枚持っている】
図4から、まずは平凡に▲2四歩、△同歩と進んだ後、さらに▲2五歩と打ちます。

【図5 継ぎ歩の手筋】
図5から△2五歩、▲同飛と進めば十字飛車で銀と桂馬の両取りとなります。

【図6 十字飛車の炸裂!】
自陣への飛車打ち
以下のような局面を考えてみましょう。相手はこちらの陣地に飛車を打ち込んできたところです。

【図7 相手から飛車の打ち込み】
ここで▲7九飛車と自陣に飛車を打つのが手筋です。

【図8 自陣への飛車打ち】
ここから△7九飛成、▲同金と進めば、自陣に飛車の打ち込みの隙が無くなりました。

【図10 飛車の打ち込みの隙が無い】
一間龍
次に紹介するのは「一間龍(いっけんりゅう)」という龍を使った手筋です。一間龍とは、下図のように龍と玉が1マス空けたところにある状態をいいます。

【図11 一間龍の例】
一間龍は相手玉を寄せやすい形です。例えば図12では▲3二金と打つと、一気に詰みの形になります。

【図13 ここから△1一玉、▲2二金で詰み】
次に、下のような局面を考えてみます。相手玉を寄せるにはどのような手を指すのが良いでしょう?

【図14 どのように寄せる?】
ここで▲3三銀などとすると、△2三玉と逃げられて失敗します(図15)。

【図15 逃げられて失敗】
図14からは、▲3二飛成とするのが正解です。このように一間龍の形を作れば必至となります。

【図16 一間龍の形を作る】

【図17 ▲2一銀の詰み】

【図18 ▲2三銀の詰み】
送りの手筋
最後に紹介するのは「送りの手筋」です。下図から相手玉をどのように寄せればよいでしょうか?

【図19 どのように寄せる?】
▲2二金と打つのが正解です。

【図20 送りの手筋】
図20からは△2二玉、▲4二飛成と進みます。

【図21 一間龍の形に】
このように、相手玉を動かすことで浮き駒を作り、飛車などで取る手筋を「送りの手筋」といいます。

【図22 ここから△1二玉、▲3二龍で詰み】
まとめ
将棋の上達には、手筋を多く覚えて実戦で使いこなすことは重要です。さらに多くの手筋を学びたいと思った方は、渡辺明先生監修の「将棋・ひと目の手筋」を一読されることをおすすめします。今回紹介した手筋はもちろん、他にも実戦で使える手筋が208も解説されています。
将棋・ひと目の手筋―初級の壁を突破する208問 (MYCOM将棋文庫SP)