将棋のルールを覚えたばかりの初心者の方は、何から指していけばよいのかわからないという方も多いでしょう。そこで今回は、将棋の対局が始まってから、そのような方針で指し手を選んでいけばよいのか、特に序盤に絞って解説していきます。
目次
序盤とは、駒を取り合う前の陣形整備!
将棋の対局は、大きく分けて序盤、中盤、終盤の3つに分かれます。その中でも、序盤は、お互いの駒を取り合う前の段階を指します。序盤では本格的な戦いが始まる前の陣形を組み立てていくことになります。また、将棋において駒を動かして陣形を組み立てることを「駒組み(こまぐみ)」といいます。
序盤の指し方の方針
飛車や角、大駒を活かせる陣形へ
飛車や角は「大駒(おおごま)」と呼ばれており、他の駒と比べると動ける範囲が広く、強力です。この大駒をうまく活かして戦えるかどうかが勝負のカギとなります。序盤の駒組みのポイントは、大駒の力を発揮できるような駒の配置をすることです。
また逆に、相手が大駒をうまく使えないように守りの陣形を組んでいくことも重要となります。
- 自分の大駒を使えるように
- 相手の大駒は使いづらくなるように
最初の1手は何を指す?
では、将棋の最初の1手はどのような手を指すのが良いでしょうか?大駒は、飛車と角の2枚があるため、これらをうまく働かせるような手を指せばよいのです。たとえば飛車を使うなら▲2六歩、角を使うなら▲7六歩といった手を指せばよいのです。
攻めの駒組みのコツ
飛車先の歩を伸ばすのがセオリー
将棋の序盤~中盤にかけての狙いは、飛車を成って龍を作ることになります。まずはそのための駒組みについてみていきましょう。
まず、攻めの形を作るには、▲2六歩~▲2五歩と飛車の前にある歩を前に動かしていくのが基本となります。このように飛車の前の歩を動かすことを「飛車先の歩を突く」といいます。
さらに飛車先の歩を伸ばし、▲2四歩とします。これでは相手に歩を取られてしまいそうですが良いのでしょうか?
突き出した歩を後手に取られましたが、▲同飛として歩を取り返すことができます。飛車はだいぶ前に出てきました。龍を作れるのももう少しです。
図2-3では、次に▲2二飛成と角を取れる局面になっているため、後手は△4四角と角を逃がしました。しかし今度は▲2一飛成と飛車を成ることができ、先手の攻めは成功です。
- 攻めの基本は飛車をなって龍を作ること
- まずは飛車先の歩を突いていく
- わざと歩を取らせて、飛車で取り返す
飛車先の歩の交換には3つの得
次に、後手がすこし工夫して守ってきたときを見てみましょう。
先手は先ほどと同様に飛車先の歩を伸ばしていきます。ここで後手は△3二金と工夫してきます。この手の狙いは何なのか見ていきましょう。
図2-5からはやはり▲2四歩から歩の交換を目指します。ここで後手が△3二金と上がった効果が出てきます。
今度は交換した歩を△2三歩と打たれて、攻めが途切れてしまいました。しかし、これでも図2-7では先手の方がわずかに戦いやすくなっています。
図2-7の局面ではお互いに駒の損得はありませんが、後手は持ち駒がないのに対し、先手は飛車の前に歩がなく、持駒に1枚歩があります。この局面は、「飛車先の歩を交換した」状況ということができます。この飛車先の歩の交換には3つの得があるとされています。
- 1歩を手持ちにできる
- 飛車が敵陣に直通する
- 2五の地点に駒を進出できる
1つ目の1歩を手持ちにできるというのは言葉通り、歩を1枚持駒にできるということです。将棋というゲームの特性上、持ち駒は好きなタイミングで好きな場所に使えます。盤上にある駒より駒台にある駒の方が価値が高いのです。
2つ目の、飛車が敵陣に直通するというのは、いつでも好きなタイミングで▲2三飛成と進めるということです。もちろん図2-7の局面では▲2三飛成としても△同金と飛車を取られてしまいますが、今後対局が進んでいく中で、どこかで▲2三飛成のチャンスが訪れるはずです。
3つ目の2五の地点に駒が進出できるというのは、将来的に桂馬を▲3七桂~▲2五桂とできたり、銀を▲3八銀~▲2五銀と進出できるということです。銀や桂馬を前に出せると攻めのバリエーションが広がります。
攻め駒が足りないときは銀を前に出す
飛車先の歩を交換した後は、銀を▲3八銀~▲2七銀~▲2六銀と前に出していきます。飛車だけで攻め切れないときは、飛車+銀で攻めていくのがセオリーとなります。
- 飛車を成って龍を作ることを目指す
- 飛車先の歩の交換を目指す
- 飛車だけで攻め切れないときは銀を使う
図2-6で後手が△2三歩と打った局面を図a-1に示します。ここで▲2八飛と後ろに引く筋を見てきましたが、▲3四飛と横の歩を取るような手を考えた方もいらっしゃると思います。
3四の歩を飛車で取ることを「横歩を取る」といい、好ましくない手とされています。確かに歩を1枚取れるのは大きいですが、その後飛車をもとの位置に戻すのに3手かかってしまいます。上級者ではあえて横歩を取るような指し手もありますが、初心者の内は横歩は取らないように指していくのが良いでしょう。
守りの駒組みのコツ
ここからは守りの駒組みのコツを見ていきます。基本的には、守りの考え方は攻めの逆のことをしていくことになります。
相手の飛車先を受ける
初手から今度はまず角道を開けました。後手が飛車先の歩を伸ばしてきたのを見たら▲6八銀と上がるのがポイントです。
後手が△8五歩と突いてきたら▲7七銀と上がります。実はこれだけで後手からの攻めを受け止めることに成功しているのです。
図3-2から△8六歩、▲同歩と進んでも、後手はここから△同飛とすることができません。もし△同飛と歩を取りにきたら、▲同銀と飛車をとることができます。
金銀3枚で玉の守りを固める
図3-3からはさらに守りを固め、玉将を囲いに入れるのが望ましいです。囲いは金2枚と銀1枚で作るのがセオリーで、図3-3からは例えば図3-4のように矢倉囲いに組むような手があります。
- 8六の地点に利きを足す
- 金2枚と銀1枚で玉を守る
戦法や囲いを覚えてみよう!
序盤の指し方のイメージがつかめてきたら、囲いや戦法の形を勉強してみるのもおすすめです。最初は形を真似してみるだけでも、実戦で難度も試していくうちに指し手の感覚が身についていくはずです。
まとめ
- 序盤は大駒をうまく使えるように駒組みを進める
- 飛車先の歩を交換し、龍を作るのを狙う
- 8六の地点に利きを足し、相手が飛車先の歩を交換するのを防ぐ
角を使うなら▲3四歩
とあるのですが、▲7六歩ではないでしょうか。
ご指摘ありがとうございます。
おっしゃる通り、▲7六歩の間違いです。該当の箇所修正いたしました。