今回の記事では、矢倉囲いのバリエーションについて解説していきます。
目次
矢倉囲いの基本形は?囲いの特徴や弱点は?
矢倉囲いってどんな囲い?定義はあるの?
矢倉囲いは図1-1の囲いを基本に、さまざまなバリエーションがあります。図1-1の囲いは、単に「矢倉囲い」と呼ばれたり、他の矢倉と区別して「金矢倉」と呼ばれます。
矢倉囲いの定義は特に定まっているわけではありませんが、銀を7七において8筋を守る囲いは矢倉に分類されることが多いです。
矢倉囲いの組み方、手順は?
まずは金銀3枚を1マス前に進め、玉を寄ります。図1-2の形は「カニ囲い」と呼ばれ、この囲いをさらに変形させることで矢倉囲いを組んでいきます。
図1-2からさらに銀と金を上げれば、矢倉囲いの外枠の部分が完成しました。あとは玉を8八にいれれば矢倉囲いの完成です。
玉を囲いに入れるために、まずは8八にいる角を退かします。ここまでくればもう矢倉囲いはほとんど完成したも同然です。
王様を矢倉のお城に入城させれば「矢倉囲い」の完成です。長い手順でしたが、ここまでの組み方にはいくつか指し手のパターンがあります。詳しくは以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
矢倉囲いは縦の攻めに強い!相居飛車で使われる
矢倉囲いは、基本的には相居飛車の将棋で使われます。特に矢倉戦法は囲いの名前がそのまま戦法名になっています。矢倉戦法だけでなく角換わり戦でも矢倉囲いを目指して駒組みするのが一般的です。
一方で、対振り飛車ではほとんど使われることはなく、矢倉囲いの代わりに舟囲いや左美濃、穴熊が使われることが多いです。
矢倉囲いは、横から攻められるのが弱点となります。矢倉崩しのパターンを知っておくと、実戦でも役に立つでしょう。
矢倉囲いの種類、バリエーションは?
矢倉囲い(金矢倉)
まずはスタンダードな「金矢倉」です。単に矢倉囲いというときはこの囲いを指します。相居飛車の将棋における最も基本的な囲いで、矢倉戦や角換わりで登場します。上部からの攻めには強いですが横からの攻めには弱く、対振り飛車ではあまり使われません。
カニ囲い
「カニ囲い」は、矢倉囲いを組む途中にできる囲いです。左右の金をカニのハサミに見立てています。守りは強くありませんが、手数がかからないためカニ囲いのまま速攻を仕掛けることもできます。
銀矢倉
金矢倉に対して、「銀矢倉」という囲いも存在します。6七の地点の駒が金ではなく銀になっています。銀2枚と金1枚で囲うことで駒の連結は良くなっています。
片矢倉
玉を7八において囲いのが「片矢倉」です。通常の矢倉囲いよりも手数を省略できるため、その分攻め手が少し早くなります。
総矢倉
金銀四枚で囲うのが「総矢倉」です。攻めに使う右銀を囲いにくっつけることでかなり手厚くなっています。その反面攻めは細くなりがちです。
矢倉穴熊
矢倉囲いを発展させ、さらに深く潜るのが「矢倉穴熊」です。ここから銀を8八にくっつければかなりの堅さになります。
菊水矢倉
別名しゃがみ矢倉とも呼ばれる「菊水矢倉」です。玉を9段目に置く構えで、棒銀のように8筋から攻めていく相手には強さを発揮しますが、横からの攻めにはかなり弱くなってしまいます。
銀立ち矢倉
矢倉囲いの銀を前に出した形が「銀立ち矢倉」です。対振り飛車で舟囲いから発展させ、相手の美濃囲いを上部から攻めていくような構えです。
菱矢倉
金銀四枚で囲う「菱矢倉」です。おなじく4枚で囲う総矢倉よりもさらに守りに重点を置いていて、相居飛車では無類の堅さを発揮するでしょう。
へこみ矢倉
通常の矢倉よりも低い陣形で構えるのが「へこみ矢倉」です。横からの攻めにかなり強くなっている一方で、斜めのラインは手薄くなっています。角換わりや、対角交換振り飛車などの角交換の将棋でよく使われます。
カブト囲い(兜矢倉)
角換わりで良く用いられる囲いが「カブト囲い」です。この形のまま戦いを起こしたり、さらに発展させて通常の矢倉囲いやへこみ矢倉を目指すのが一般的です。
ポナンザ囲い
コンピュータ将棋ソフト、Bonanzaが好んで用いたとされる囲いが「ボナンザ囲い」です。対角交換振り飛車でよく使われ、へこみ矢倉よりも手数がかからない一方で、下段はスカスカになっています。
土居矢倉
左金を7八ではなく5八に上がるのが「土居矢倉」です。陣形の堅さはありませんがバランスの良い構えで隙が少ないのが特徴です。
右矢倉
通常の矢倉を左右反転させた囲いが「右矢倉」です。主に相振り飛車で使われる囲いです。
雁木囲い
「雁木囲い」は、正確には矢倉とは別の囲いですが、矢倉戦法の出だしから使われることも多く、矢倉囲いとは兄弟関係のような囲いです。