今回は将棋の駒の特徴をざっくり説明していきます。ルールを覚えて将棋を指せるようになったけど、指し方の方針がよくわからないという方は、まずはそれぞれの駒がどのような働きをするのか見ていくのが良いでしょう。
またそれぞれの駒について解説した個別のページのリンクも貼ってあるのでそれらも合わせてご覧下さい。
目次
駒の価値を知ろう!
将棋の駒は玉将を含めて8種類ありますが、これらの駒はそれぞれ価値が異なります。例えば、歩を3枚持っているのと、飛車1枚持っているのでは飛車を持っている方が有利だと思いませんか?これは飛車1枚の価値が歩3枚より高いからです。
基本的には、動ける範囲の広い駒ほど価値が高くなります。これらの駒の価値をおおまかに点数付けしたものが以下の表になります。
飛車 | 10点 | |
角行 | 8点 | |
金将 | 6点 | |
銀将 | 5点 | |
桂馬 | 4点 | |
香車 | 3点 | |
歩兵 | 1点 |
将棋というゲームは、お互いの駒を取り合ってゲームが進行します。このとき、価値の低い駒を犠牲にしてもより価値の高い駒を取ることができれば有利になれるわけです。例えば銀を相手に渡しても、代わりに角を取れれば優勢になるのです。このように価値の低い駒を渡す代わりに価値の高い駒を取るようなことを「駒得」といいます。駒得をして対局を有利に進めるためにも、駒の価値をしっかり把握しておくことは重要です。
なお上の表の点数は大体の目安でしかなく、局面によっては飛車よりも銀や桂馬の方が重要で価値が高くなることもあります。また表には玉将の価値は記載していません。将棋は玉将を取られたら負けてしまうので、他の駒を全部合わせても玉将の方が価値が高いということになります。
駒の特性を知って対局を有利に進めよう!
ここからは玉将を除く7種類の駒について、それぞれの特徴を見ていきます。将棋初心者の方は実際に将棋をやってみても、対局中どんな手を指せばよいのか全く分からなくなってしまうことも多いと思います。それぞれの駒の特徴とうまい使い方を知れば、対局中に指し手の方針が立てやすくなると思います。
今回は、駒の特性を表すのに、「攻撃力」「守備力」「スピード」「テクニック」「価値」という5つのパラメータを用意しました。まずはこれらの簡単な説明をします。
攻撃力 | 攻め駒としてどれだけ強力かを表します。この値が高い駒で相手玉を攻めれば有利になります。 |
守備力 | 受けの駒としてどれだけ強力かを表します。この値が高い駒を自分の玉の周りに配置すれば有利になります。 |
スピード | 駒の機動力を表します。この値が高い駒は遠くに配置しても活用できます。 |
テクニック | 駒の使いにくさを表します。この値が高い駒をうまく活用できれば有利になります。 |
価値 | 駒の価値を表します。この値が高いほど価値が高く、他の4つのステータスの総合点ともいえます。 |
たとえば、守備力のパラメータが高い駒は自分の玉の周りに配置して守りに使うと有利になります。そのため序盤で指し手がわからなくなったときにとりあえず守備力の高い駒を自玉の近くに動かせば、不利な手にはならないわけです。
飛車は最強の攻め駒!
飛車は前後左右にどこまでも進むことができます。他の駒に比べて動ける範囲がかなり広いです。
飛車は最も価値の高い駒で、特に攻撃力の高さが目立ちます。基本的には、飛車を軸にしながら攻撃の態勢を作っていくのが、将棋というゲームのコツになります。また初心者でも使い方がわかりやす駒なので、とにかく将棋初心者の方は、飛車をうまく使うことから始めてみるのが良いでしょう。
角行は使い方が難しい!?
角はナナメにどこまでも進むことができます。飛車と同じく動ける範囲が広い駒です。
角も飛車と同じく価値の高い駒です。しかし飛車と違って扱い方が難しい駒でもあります。そのため初心者のうちは角をうまく使うことができないまま勝負が終わってしまうことも珍しくありません。
また角を馬に成ると、守備力が一気に高くなるのも特徴です。敵陣で馬を作ったら、うまくタイミングを見て自陣に引くことで鉄壁の守りが実現できます。
金将は守りに使おう!
金は前後左右に1マス進むことができ、さらにナナメ前にも進めます(斜め後ろには下がれません)。
金は攻撃力に比べて守備力の高い駒です。そのため2枚の金は両方とも自分の玉の近くに配置しておくとよいでしょう。また逆に、相手の玉を攻めるときはまず相手玉近くの金を攻めるのが好手に成ることが多いです。相手の金を剥がすことができれば敵陣の守備力はガクッと落ちることになります。
銀将は攻めも守りもこなせる駒
銀はナナメ前とナナメ後ろに1マス進めます。また前にも1マス進めます(横と後ろには動けません)。
銀は攻撃力と守備力のバランスが取れた駒です。2枚の銀のうち1枚は玉の近くで守りに使い、もう1枚は前に出して攻めに使うのがセオリーです。
桂馬はトリッキーな攻め駒
桂馬は前2マス、横1マス進んだところにのみ動けます。また唯一他の駒を飛び越えることができる駒です。
桂馬はトリッキーな動きをする駒です。そのため初心者の方には使いにくい駒に感じられるでしょう。また下手に桂馬を前に出してしまうと歩であっさり取られてしまうことも多々あります。桂馬は慎重に使うようにしましょう。
香車は下段から使う
香車は前にどこまでも進めます。後ろには下がれません。
香車は前にしか進めない駒です。一度前に進むともう元の位置には戻れないため、基本的には下段から敵陣をじっと睨み、ここぞという時に前に出る駒です。初心者の方には使いどころが難しい駒かもしれませんね。
と金は最強の駒!?歩兵を使いこなそう!
歩は前に1マスだけ進めます。
歩は単純な動きをする駒ですが、意外と奥の深い駒です。歩には垂れ歩や継ぎ歩などさまざまな手筋があり、これらを使いこなせれば棋力が大幅に向上します。
また、と金に成ると大幅に価値が上がるのも特徴です。金と同じ動きでありながら、もし取られても相手の駒台に乗ったら歩になってしまいます。相手に取られたときのリスクがほとんどないため、金や銀よりも価値の高い駒と言えます。さらに歩と比べて大幅に価値が高いため、と金を作ることができればそれだけで大きなポイントになります。そういった意味では他の駒にはない特徴をもっていて、最強の駒ともいえるかもしれません。
まとめ
今回は将棋の駒の特徴や使い方、価値を見ていきました。かなり大まかな説明しかしていませんが、この考え方は将棋を指すうえでの基本の一つです。どの駒を攻めに使い、どの駒を守りに使うのかといったことは、最初はうまく考えられないかもしれません。今後将棋をつづけ、棋力を高めていくうちに徐々にこれらの感覚が養われていくはずです。
またこういった将棋の基本的な考え方をさらに学びたいという方は、羽生善治先生の書かれた「みるみる強くなる将棋入門」を読まれることをおすすめします。全7巻とかなり多いので、まずは「5カ条で勝ち方がわかる」の巻だけ読んでみるのが良いかもしれません。
羽生善治のみるみる強くなる将棋入門-5ヵ条で勝ち方がわかる (池田書店 羽生善治の将棋シリーズ)