初心者向け入門講座

駒得の考え方

投稿日: 09/22/2018 更新日:

キャラクターイラスト:さゆ吉様

将棋を始めたばかりの初心者の方にとって、将棋はルールが複雑で難しいものに感じられると思います。実際に将棋を指してみても、何から指して良いかわからずに困惑してしまうかもしれません。

そこで今回は、特に駒の取り合いにフォーカスして、駒得という考え方を説明していきます。駒得は将棋を指すうえでの基本的な考え方の一つなので、もしよく知らないのであればこの記事を読んでしっかり理解してしまいましょう。

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駒の交換とは

たとえば、下の図のような局面を考えてみましょう。このとき、お互いに持ち駒がないことに注目してください

駒の交換

【図1-1 お互いに持ち駒はない】

 

ここから何手か進めてみます。

【図1-2 歩を突く】

【図1-3 歩を取られる】

【図1-4 歩を取り返す】

【図1-5 銀を取られる】

【図1-6 銀を取り返す】

 

お互いに駒を取り合いました。先手と後手がそれぞれ銀と歩を取り合ってのがわかると思います。このような状況を「銀と歩を交換した」といいます。将棋の序盤~中盤にかけては、お互いに駒を取り合って交換していくことでゲームが進行していきます。

 

駒の価値を知ることが上達の近道!

別の種類の駒を交換する場合

先ほどの例では、先手と後手がそれぞれ同じ駒(銀と歩)を交換しました。このような場合、先手と後手は駒を失ったり得たりすることなく、ただ単に盤上の駒が駒台に移しただけと考えることができます。

では以下の例はどうでしょう?

駒の価値

【図2-1 お互いに歩を持ち合っている】

角を取る

【図2-1 角を取る】

【図2-3 香車を取られる】

今回は先手が角を取り、後手は香車を取りました。つまり香車と角の交換をしたこととなります。この場合、先手は香車を失った代わりに角を得て、後手は角を失った代わりに香車を得たこととなります。ではこの駒の交換では先手と後手のどちらが得をしたでしょうか?

 

駒得とは?駒の価値を知る

将棋の駒は動ける範囲が広いほど強力で、価値の高い駒となります。例えば、歩兵は1マスしか動ける範囲がないのに対し、角や飛車は多くのマスに移動できます。そのため角や飛車は歩兵よりも価値の高い駒となるのです。価値の高い駒をたくさん持っているほど、ゲームを有利に進めることができます。

一般的に将棋の駒は、

飛車 ≧ 角 > 金 ≧ 銀 > 桂 ≧ 香 >> 歩

の順に価値があるとされています。そして価値が高い駒を得ることを「駒得(こまどく)」、価値の高い駒を失うことを「駒損(こまぞん)」といいます。

駒の損得というのは、先手と後手の比較で考えるため、どちらかが駒得したときには必ず相手側は駒損することとなります。上に示した例では、角と香車の交換をしています。角は香車に比べて価値が高く強力な駒であるため、先手が駒得し、後手が駒損したといえます。

将棋では、基本的に駒得をしている方が優勢となります。将棋のルールを覚えたばかりの初心者の方は、まずはどの駒の価値の高いのかをしっかり把握していくことが上達の近道となります。

 

駒の価値の覚え方

初心者の方にとって、将棋はただでさえルールが複雑で覚えにくいため、駒の価値まで記憶するのは難しいかと思います。そこで駒の価値の簡単な覚え方を教えます。

 

駒の並び方で覚える

将棋の駒の初期配置を考えてみましょう。王将に近いところから順に、金、銀、桂、香とならべますよね。この並びがそのまま駒の価値の順番になっているのです。

高い駒ほど内側に、安い駒ほど外側にあると覚えておきましょう(飛車、角、歩は例外)。

 

駒の大きさで覚える

実は、将棋の駒のサイズって同じではないって知っていましたか?もし手元に将棋の駒があれば飛車と歩兵のサイズを比べてみてください。明らかに飛車の方が大きいと思います。

将棋の駒の大きさ

【図2-5 大きい駒ほど価値が高い】

 

将棋の駒は、価値の高い物ほど大きく作られています。つまり、小さな駒と大きな駒を交換すれば駒得で有利になるわけですね。

 

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2枚替えの考え方

まずは下の図のような局面を見てみましょう。この時点ではお互いに歩を持っているだけで駒の損得はありません。

2枚替え

【図3-1 お互いに歩を持っている】

ここから数手進めてみましょう。

2枚がえ

【図3-2 銀を取る】

2枚がえ

【図3-3 角を取られる】

2枚がえ

【図3-4 桂馬を取る】

先手は角を失った代わりに銀と桂馬を得ました。このように1枚の駒と2枚の駒を交換することを2枚替えといいます。銀と桂馬はどちらも角より価値の低い駒ですが、2枚合わせるとどうなるのでしょう?

2枚替えでの損得は状況によって大きく異なるため一概には言えませんが、基本的に

金+銀 > 飛車 > 銀+桂 > 角 > 桂+香

と考えておけば大きく間違いはないでしょう。金銀2枚は飛車や角よりも価値が高く、桂馬と香車は角や飛車より価値が低いです。上の例では角と銀+桂の交換で、さらに飛車が龍に成っているので先手が有利と考えてよいでしょう。

 

両取りで駒得しよう

ここまで駒得について説明してきました。しかし、実際の対局では相手は取られそうな駒を逃げたり守ったりするため、簡単に駒得させてはくれません。

そこで駒得のための手筋の一つとして、「両取りの手筋」を少しだけ紹介したいと思います。

両取り

【図4 桂で両取り】

例えば、上のような局面では、先手は次に飛車と角のどちらかを取ることができます。次に後手が飛車か角のどちらかを逃がしたとしても、片方は確実に取ることができるのです。このように2枚の駒のどちらかを確実に取る手筋を「両取り」といい、必ず駒得をすることができます。

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まとめ

今回は駒得について説明しました。ポイントは

  • 将棋の駒はそれぞれ価値が異なる
  • 安い駒を犠牲にして高い駒を取ればゲームを有利に進められる

ということです。駒得の考え方をしっかり身に着けられれば脱将棋初心者です!

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