将棋の上達のためには、駒の特性や使い方を正しく知ることが大切です。
今回は桂馬の動き方と基本的な使い方に加え、桂馬を使った手筋として「ふんどしの桂」「歩頭の桂」「つるし桂」「控えの桂」「継ぎ桂」を紹介したいと思います。桂馬はトリッキーな動きをする駒ですが、その分うまく使いこなすことで強力な駒となります。
目次
桂馬と成桂の動き方
表:桂馬、裏:成桂 置き場所は?
桂馬は、将棋に使われる駒の1種で、表面が「桂馬(通称:桂)」、裏面が「成桂」となります。
桂馬は、ゲーム開始時点では端から2番目の筋に置かれます。
桂馬の動き方、前に2つ横に1つ先のマスに動ける
桂馬は、前に2つ、横に1つ先のマスに動くことができます。
成桂の動き方、成ると金の動きに
桂馬を裏返す(=成る)と、成桂という駒となり、金将と同じ動きになります。縦横1マスずつと、斜め前に動けるようになります。
桂馬は他の駒を跳び越えられる
飛車、角行、香車などの駒は遠くのマスまで動かすことのできますが、途中に他の駒がある場合はそれを飛び越して動かすことはできません。ただし、桂馬だけは例外的に他の駒を飛び越すことができます。
桂馬の基本的な使い方と役割
桂馬は攻めに使おう!
「攻めは飛角銀桂で」という格言があるように、桂馬は攻めに使うのが基本です。桂馬特有のトリッキーな動きで、他の駒を狙うのが良いでしょう。
桂馬の高跳び歩の餌食
桂馬の使い方の1番のポイントは、むやみに跳ねださないことです。「桂馬の高跳び歩の餌食」という格言があり、どんどん桂馬を跳ねてしまうと歩で取られてしまう展開になりがちです。
例えば図1-1で桂馬を跳ねるとどうなってしまうでしょう?
図1-1から▲3七桂と桂馬を跳ねたところです。一見すると桂馬を活用する自然な手ですが、これは悪手となります。
桂馬は前のマスに進めないため、頭に歩を打たれるとあっさり取られてしまうことがあります。後手は歩を捨てて桂馬の頭(桂頭)にスペースを作り、歩で攻めるのが好手でした。
これでこちらの桂馬はどうやっても取られてしまいます。
桂馬を跳ねる前に、▲4八銀~▲4七銀などと銀を繰り出しておき、あらかじめ桂頭をカバーするような手を指しておくのが良いでしょう。
無理に動かすよりも、初期位置のままで
先ほど説明したように、むやみやたらに桂馬を跳ねだすと歩で取られるような展開になってしまいがちです。特に狙いがなければ、初期位置のまま桂馬を動かさないでおくのも戦略でしょう。
相手の陣地で成らないのもOK
桂馬は、成ると動きが大きく変わる駒です。基本的には桂馬よりも成桂の方が強力な駒の言われていますが、状況によってはあえて成らないのも良いでしょう。
桂馬の手筋5つ
ふんどしの桂
ここからは桂馬を使った手筋を紹介していきます。まずは両取りの手筋である「ふんどしの桂」です。
歩頭の桂
次は、図3-1の局面を考えてみます。ここから3手で相手玉は詰んでしまうのですがわかりますか?
相手にわざと桂馬を取らせて、空いたスペースに金を打てば詰みとなります。なお、図3-2から桂馬を取らずに△2二玉などと指されても、▲3二角成で詰みとなります。
つるし桂
図4-1の局面を考えてみましょう。ここから持駒の桂馬で詰ませましょう。
▲6三桂と打てば詰んでしまいます。このように桂馬を打って詰ませる手筋を「つるし桂」といいます。
控えの桂
図5-1のような局面を考えてみましょう。美濃囲いを寄せようとしているところです。ここでなにか良い手はないでしょうか?
ここは▲7六桂と打つのが好手で、次に▲7四桂と跳ねるのを狙っています。このように次に跳ねる手を狙って桂馬を打つ手を「控えの桂」といいます。
▲7四桂から相手玉が△9二玉と逃げれば、▲6一飛成が好手です。△同銀と飛車を取られても、次の▲8二金で詰みとなります。
継ぎ桂
最後は「継ぎ桂」の手筋を紹介します。下の局面はさっきと似ていますが、今度はどのように指すのがよいでしょう?
この局面では、いきなり▲7四桂と打つ手が成立します。このように桂馬の効いている地点にさらに桂馬を足す手筋を「継ぎ桂」といいます。
まとめ
将棋の上達には、手筋を多く覚えて実戦で使いこなすことは重要です。さらに多くの手筋を学びたいと思った方は、渡辺明先生監修の「将棋・ひと目の手筋」を一読されることをおすすめします。今回紹介した手筋はもちろん、他にも実戦で使える手筋が208も解説されています。
将棋・ひと目の手筋―初級の壁を突破する208問 (MYCOM将棋文庫SP)