今回の記事では、藤井システムの基本の駒組みを解説していきます。
目次
参考棋書:四間飛車vs居飛車穴熊
藤井システムって?藤井猛九段が開発した四間飛車の戦法
四間飛車から速攻を仕掛ける!
藤井システムとは、プロ棋士の藤井猛先生が考案した四間飛車の戦法です。通常の四間飛車は、囲いをじっくり固めて相手が攻めてくるのを待ち、カウンターを狙うのが基本です。しかし、素早く攻めてくる相手には強い一方で、相手も攻めてこないで居飛車穴熊や天守閣美濃などの強力な囲いを組んでこられるのが弱点でした。
そこで、藤井猛先生が居飛車穴熊や天守閣美濃の対策として編み出したのが藤井システムです。藤井システムは、玉を全く囲わないで速攻を仕掛ける四間飛車の戦法です。相手が居飛車穴熊を組もうとしても、穴熊が完成する1手前にギリギリ攻めが間に合うように計算されています。また、相手が藤井システム対策として穴熊を諦めて速攻を狙っても、相手が攻めを見せたタイミングで囲いを組み始めれば、ギリギリ受けが間に合うような駒組みが特徴です。
玉を全く囲わずに攻めるのはいわゆる将棋のセオリーに反した悪手と言われており、藤井システムはセオリーに縛られない独創的な戦法といえます。独創的でありながら、発明された当時はプロ棋戦で猛威を振るったため、将棋界の革命とも言われています。
藤井猛先生は、1995年の順位戦で藤井システムを初披露し勝利を収めます。そして、藤井システムが原動力となり1998年には竜王位を獲得しました。
藤井システム≠藤井聡太システム
将棋界で藤井といえば、最年少でのプロ入りが話題となった藤井聡太先生を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、前述の通り藤井システムは藤井猛先生が考案した戦法で、藤井聡太先生とは関係ありません。
藤井システムの基本形、居玉のまま四間飛車に組んで速攻を狙う!
図1-1は、藤井システムの基本形です。藤井システムは四間飛車の一種で、左辺の駒組みは普通の四間飛車とほとんど同じです。しかし玉を全く囲わないのが特徴的で、1手でも早く攻めていくのを狙っています。居飛車穴熊や天守閣美濃といった、じっくり囲いを組んでくる相手に対しては効果抜群で、速攻で囲いを崩すことができます。
藤井システム、基本的な駒組みのやり方
ノーマル四間飛車の出だし
ここからは、藤井システムの基本形までの駒組みを初手から解説していきます。まずは普通のノーマル四間飛車と同じように駒組みをしていきます。角道を閉じて、飛車を四間飛車に構えます。
早めに端歩を突くのがポイント
藤井システムでは、早めに▲1六歩と端歩を突くのがポイントです。この手に対して相手が△1四歩と端を突き返せば急戦の可能性が高く、端歩を突き返さなければ穴熊に組んで持久戦にしてくる可能性が高くなります。
こちらが端歩を突いた手に対して、相手は端を突き返さずに駒組みを進めてきました。端を突いてこない場合、相手は居飛車穴熊に組んでくる可能性が高いため、藤井システムの駒組みを目指します。
居玉のまま、金銀だけ美濃囲いの形に
藤井システムでは、居玉のまま金銀だけ美濃囲いの形に組んでいくのがポイントです。藤井システムは1筋や2筋で戦いを起こすことが多いので、玉を深く囲うより居玉でいる方が安全な場合もよくあります。
居玉のまま駒組みを進め、藤井システムの基本形が完成しました。ここから相手は、素直に居飛車穴熊に組む指し方や、急戦に切り替える指し方、左美濃に組んでいく指し方などがあります。相手の出方によってこちらの方針も大きく変わっていくことになります。
藤井システムの指し方、どうやって戦う?
藤井システムと言えばこれ!居飛車穴熊崩し
藤井システムと言えば、居飛車穴熊と戦う形が一番有名なのではないでしょうか?藤井システムの狙いの攻め筋がたくさんあるので、まずは居飛車穴熊との戦い方を学んでいきましょう。
天守閣美濃を玉頭から崩そう!
藤井システムは、左美濃(天守閣美濃)に対しても強く戦うことができます。居飛車穴熊に対する攻め筋とは少し違った狙いがあるため、手順をよく知っておきましょう。
急戦に対してはどう戦う?
藤井システムは、穴熊や左美濃のような持久戦に対して速攻を仕掛けるのが狙いです。そのため相手は藤井システムの駒組みをみて九千二構えてくる場合も多いです。急戦との戦いでも、正しく指さば互角に戦っていけます。
まとめ
- 出だしはノーマル四間飛車と同じ
- 早めに端歩を突く
- 居玉のまま、金銀だけ美濃囲いの形に