駒落ち定跡

4枚落ち定跡

投稿日: 05/02/2019 更新日:

キャラクターイラスト:さゆ吉様

歩美
8枚落ち、6枚落ちときて今度は4枚落ちに挑戦です!だいぶ上手の駒も増えてきましたね~。
香介
今回は4枚落ちの定跡を解説するよ!8枚落ちでは棒銀、6枚落ちでは端攻めを使ったけど、4枚落ちでは端攻めと棒銀を組み合わせて攻めていく筋を勉強しよう!

今回の記事では、4枚落ちの定跡について解説します。4枚落ちでは、棒銀と端攻めを組み合わせた攻め筋が有力です。

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参考棋書:決定版 駒落ち定跡

香介
今回の記事は、毎日コミュニケーションズの「決定版 駒落ち定跡」を参考にしたよ!羽生善治先生も推薦している駒落ち定跡の名著なんだ!

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歩美
それでは4枚落ち定跡の解説に行ってみましょー!

四枚落ちの基本図と飛車先の交換

4枚落ちの基本図

テーマ図

【図1-1 4枚落ちの基本図】

【図1-1 4枚落ちの基本図】

図1-1は4枚落ちの基本図です。上手は飛車、角、香を落としています。6枚落ちでは端攻めが有力でしたが、4枚落ちでは上手の桂馬が端を守っているため、簡単には端攻めも成功しません。

歩美
8枚落ちでは棒銀、6枚落ちでは端攻めで攻めていきましたよね。今度はどうやって攻めていけばいいんでしょう…?

図1-1からの指し手
△6二銀、▲7六歩、△5四歩、▲2六歩、△5三銀、▲2五歩、△3二金(図1-2)

【図1-2 まずは飛車と価格を使っていく】

【図1-2 まずは飛車と価格を使っていく】

まずはセオリー通り飛車と角を動きやすくしていきます。▲7六歩で角のラインを通し、▲2六歩~▲2五歩で飛車先の歩を伸ばしていきます。

香介
飛車と角をうまく攻めに使っていくのが序盤のセオリーなんだ!

飛車先の歩を交換するのは3つの得??

図1-2からの指し手
▲2四歩、△同歩、▲同飛、△2三歩、▲2八飛(図1-3)

【図1‐3 飛車先の歩を交換する】

【図1‐3 飛車先の歩を交換する】

まずは▲2四歩と飛車先の歩を突いていきます。図1-3では下手の2筋の歩が持ち駒に移動したような状態になっています。このような指し手の手順を「飛車先の歩を交換する」といいます。飛車先の歩を交換することには3つのメリットがあるとされていて、今回はその効果に注目しながら読み進めていきましょう。

香介
飛車先の歩の交換には以下の3つの得があるとされているんだ!今回の解説の中で、これらの3つの得がどのように活きていくのか注目してみよう!

飛車先の歩の交換、3つの得

  1. 2五の地点に駒を進出できる
  2. 1歩を手持ちにできる
  3. 飛車が敵陣に直通する
歩美
えーっ!こんな単純な指し手に3つも得があるんですか!?

棒銀+端攻めを狙う駒組み

棒銀の攻めを狙う

図1-3からの指し手
△7二金、▲3八銀、△5二玉、▲2六銀、△2二銀、▲3六銀(図2-1)

【図2-1 棒銀を狙っていく】

【図2-1 棒銀を狙っていく】

下手は銀を前に進出させ、棒銀の攻めを狙っていきます。通常の棒銀では▲2六銀としますが、今回は▲3六銀と進めていきます。

さらに端攻めも狙っていく

図2-1からの指し手
△7四歩、▲1六歩、△7三金、▲1五歩(図2-2)

【図2-2 端攻めも狙っていく】

【図2-2 端攻めも狙っていく】

下手はさらに1筋の歩も伸ばし、端攻めを狙っていきます。このように4枚落ちでは棒銀と端攻めを両方狙っていくような指し方が有力になります。棒銀と端の組み合わせは平手の将棋でも使える手筋なのでぜひマスターしておきましょう。

歩美
棒銀と端攻めをダブルで狙うんですね!

▲2五銀と出るのがポイント

図2-2からの指し手
△6四金、▲2五銀(図2-3)

【図2-3 ▲2五銀がポイント】

【図2-3 ▲2五銀がポイント】

下手は▲2五銀と銀を前に出します。この銀の位置は2筋からの攻めと1筋からの攻めを睨んだ好位置ですが、ここに銀を進出できたということは一つの重要なポイントです。先ほど説明した飛車先の歩交換の3つの得を覚えていますか?実は2五の地点に駒を進出できるというのが得の一つでした。あらかじめ飛車先の歩を交換したおかげでこの手が実現できたのです。

香介
何気ない1手だけど、▲2五銀はとても重要な手だからしっかりチェックしておこう!

 

下手が端から仕掛けていく

手筋の垂れ歩

図2-3からの指し手
△5五歩、▲1四歩、△同歩(図3-1)

【図3-1 下手は端から仕掛ける】

【図3-1 下手は端から仕掛ける】

下手は1筋から仕掛けていきます。▲1四歩、△同歩に対して▲同銀としていきたいところですが、その前に指しておきたい手があります。

図3-1からの指し手
▲1二歩(図3-2)

【図3-2 垂れ歩の手筋】

【図3-2 垂れ歩の手筋】

▲1二歩と「垂れ歩」の手筋を使います。この歩は狙いがわかりにくいですが、後からボディブローのようにじわじわ効いてきます。またここに垂れ歩が打てたのも一つのポイントで、あらかじめ飛車先の歩を交換していたからこそ指せた手であることにも注目です。

歩美
またしても飛車先の歩の交換の得が効いてきましたね!!でもこの▲1二歩というのは狙いがよくわかりません…
香介
▲1二歩は棒銀の攻めでよく出てくる筋で、この後進めていくとそのいやらしさが分かってくるよ!今はとりあえずこんなものかと思って読み進めてくれれば大丈夫!

2筋の攻めも絡めていく

図3-2からの指し手
△4四銀、▲1四銀、△1三歩(図3-3)

【図3-3 銀が取られそうだが?】

【図3-3 銀が取られそうだが?】

下手は▲1四銀と銀を前に出して攻めていきますが、△1三歩と打たれてしまいました。ここで銀が下がってしまうと攻めが続かなそうですが、良い手はないでしょうか?

図3-3からの指し手
▲2三銀成(図3-4)

【図3-4 銀を捨てて攻めていく】

【図3-4 銀を捨てて攻めていく】

▲2三銀成として攻めをつなげていきます。一見すると銀がタダですが、この後も下手の攻めが続いていきます。

図3-4からの指し手
△2三銀、▲1一歩成(図3-5)

【図3-5 と金を作って桂馬を取りに行く】

【図3-5 と金を作って桂馬を取りに行く】

上手は△2三銀としたところで▲1一歩とすれば、桂馬を確実に取ることができます。あらかじめ仕込んでおいた垂れ歩がここで活きてきました。

歩美
こんなところで垂れ歩がじわじわ効いてきました!こんな手知らなかったら指せないですね!

補足
▲2三銀成に△同金と取ってきたら?

【図a-1 △同金に対しても▲1一歩成】

【図a-1 △同金に対しても▲1一歩成】

図3-4から上手が△同金として銀を取ってきた場合も、▲1一歩成が成立します。もし図a-1から△同銀としてと金が取られても、▲2三飛成として金を取ることができます。

と金をうまく使って攻めていく

図3-5 からの指し手
△3五銀、▲2一と、△1四歩(図3-6)

【図3-6 ▲1四香とできないか?】

【図3-6 ▲1四香とできないか?】

図3-5 から下手は無事▲2一ととして桂馬を取ることに成功しました。ここで上手は△1四歩として下手の香車が攻めに参加するのを防いできました。ここからどうにか▲1四香とできないでしょうか?

歩美
このまま▲1四香としても銀で取られちゃいますね。

図3-6からの指し手
▲3一と(図3-7)

【図3-7 間接的な攻めの手】

【図3-7 間接的な攻めの手】

▲3一とするのが好手です。もしこれに対して△同金とすれば▲2三飛成として攻めていけます。上手は飛車の攻撃から守るために常に銀にヒモをつけて指していく必要があるのです。このように飛車でプレッシャーをかけて攻められるのも、あらかじめ飛車先の歩を交換して、飛車のラインを通しておいた効果なのです。

香介
▲3一とという手は、一見相手の金を攻めているように見えるけど、間接的に銀を攻めている手なんだ!もし金が下手に動けば飛車で銀が取れるからね!
歩美
そしてまた飛車先の歩の交換の得が出てきましたね!序盤の何気ない一手が後から効いてくるなんてすごいです!

図3-7からの指し手
△2二金、▲1四香(図3-8)

【図3-8 香車を走ることに成功】

【図3-8 香車を走ることに成功】

上手は銀にヒモをつけながら金を逃がしますが、ここで▲1四香が実現します。図3-8でもし△同銀とすれば▲2二飛と金を取れることを確認してみて下さい。

ここからはさらに1三香成としていく手を目指します。

さらに香成をねらう

図3-8からの指し手
△6五金、▲2一と(図3-9)

【図3-9 さらに銀を間接的に攻める】

【図3-9 さらに銀を間接的に攻める】

もう一度と金で相手の金に働きかけます。ここで△同金ならやはり▲2三飛成とできるため上手はと金を取れません。このような間接的に銀を攻めるような手順を是非覚えておいてください、非常に応用の効きやすい手筋です。

図3-9からの指し手
△3二金、▲1三香成(図3-10)

【図3-10 成香作りに成功】

【図3-10 成香作りに成功】

上手の金を退かして▲1三香成を実現しました。ここからはと金と成香で2筋を攻めつつ龍を作っていけば下手が指しやすいでしょう。

 

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上手が金銀3枚でガッチリ守ってきた場合

テーマ図

【図4-1 金銀3枚でガッチリ守る】

【図4-1 金銀3枚でガッチリ守る】

今度は上手が金銀3枚でガッチリ守ってきた場合について少しだけ見ていきます。結論から言うと、図4-1のように守られると先ほどのような攻めは通じません。

図4-1からの指し手
▲1四歩、△同歩、▲1二歩、△3三金右(図4-2)

【図4-2 ガッチリ守られて攻め手がない】

【図4-2 ガッチリ守られて攻め手がない】

今度は先ほどのように▲1二歩の垂れ歩から攻めようとしてもなかなか攻め手がありません。このように上手に固められると棒銀+端攻めでもうまくいかないようです。

歩美
う~ん。そう簡単にはいかないんですねえ。
香介
ガッチリ守られてしまったときの指し手は以下の本を参考にしてみてね!

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龍を作ったら終盤戦!相手玉を詰めよう!

実際の4枚落ちでの対局では、端攻めと棒銀で攻めていった後も対局は続きます。龍やと金ができたらいよいよ相手玉を攻めていく段階に入るのですが、うまい攻めを身に着けるためには詰みの形をたくさん知っておくのが良いでしょう。以下の記事では初心者向けの詰将棋の問題をいくつか紹介しているため、これらで勉強して終盤力をアップさせましょう。

香介
最初は1手詰めをいくつか解くだけでも、実戦でも攻めが見違えるように鮮やかになるよ!

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まとめ

香介
今回は4枚落ちの定跡を解説したよ!ポイントをまとめよう!

POINT

  • 早めに飛車先の歩を交換する
  • 棒銀+端攻めで攻めていく
  • ▲1二歩の垂れ歩がポイント
  • と金を使った間接的な攻め
歩美
今回は高度な攻め筋もいっぱいありましたね!頑張って習得します!

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【図3-5 と金を作って桂馬を取りに行く】

【図3-5 と金を作って桂馬を取りに行く】