今回の記事では、将棋の8枚落ちでの駒落ち定跡について解説します。8枚落ちでは棒銀を使った攻めを覚えるのが良いでしょう。
目次
参考棋書:決定版 駒落ち定跡
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8枚落ちの基本図と下手の狙い
8枚落ちの初期配置
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【図1-1 八枚落ちの基本図】
図1-1は8枚落ちの初期配置です。上手は飛車、角、銀、桂、香を落とした状態でスタートします。もちろん下手が圧倒的に有利なルールですが、これでも上手が上級者だと簡単には勝てないものなのです。
飛車と角を龍や馬にするのを狙う!
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【図1-2 飛車と角を使っていく】
将棋では飛車や角を成らせることができれば勝負を優勢に進められます。この考え方は駒落ち戦でも例外ではなく、下手は▲7六歩、▲2六歩と歩を突き、飛車と角の動けるゾーンを広げておくのが良い手です。ここから下手がどのように龍や馬を作っていくのかという点に注目しながら先を進めていきましょう。
棒銀の攻め筋を覚えよう!
飛車、銀、歩で攻めるのが棒銀の陣形
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【図2-1 上手は玉を早めに逃がす】
上手は△5二玉と玉を上がります。この手は下手の飛車と角の攻撃を避ける意味があります。下手の飛車も角も両方とも盤面の右奥の地点に利きが伸びているのがわかりますか?そのため上手は飛車と角の利きがない盤面左手前(上手から見ると右奥)を目指して玉を進めていきます。
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【図2-2 棒銀の陣形】
下手は、棒銀という陣形に組みました。ここでの指し手は、上手側の細かい指し手はあまり覚える必要がないのでとにかく図2-2の下手側の飛車と銀の配置をしっかり覚えておきましょう。3五の銀、2五の歩、2八の飛車の3枚をうまく連携させていくのが棒銀の陣形です。
まずは歩を捨てるところから攻めを始める
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【図2-3 2筋の歩を捨てる】
下手は△2四歩と歩を突きます。この歩は次に取られてしまいますが、このように2筋の歩を捨てるところから棒銀の攻めは始まります。ここからさらに進めてみましょう。
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【図2-4 次の一手は?】
下手は歩を取られましたが、銀を前に進めて歩を取り返しました。このように相手に歩を渡す代わりに銀を前に進めて歩を取り返すのが棒銀の攻めの基本です。図2-4では上手は金を逃がして守りを固めてきましたが、ここで下手は銀をどのように動かすのが良いでしょうか?
龍を作って下手優勢
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【図2-5 角と飛車を一気に使う】
図2-4からは▲3三銀成と指すのが良い手です。もしこの銀を△同金と取られても、▲同角成と金を取り返しながら馬を作ることもできます。さらに、下手は飛車を前にすすめて龍を作る手もあり、飛車と角が一気に働きだす展開になります。もし図2-4から▲2三銀成などとしてしまうと、飛車も角も使いにく陣形になってしまうことを確認してみてください
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【図2-6 龍を作って下手優勢】
図2-5から進めて下手は龍を作ることに成功しました。ここから相手玉をいかに捕まえるかという展開になりますが、すでに下手優勢でしょう。
上手が玉で守ってくるパターン
上手は棒銀への守りを固める
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【図3-1 玉を守りに使ってきた】
図1-2 まで戻って別の指し手を見てきます。細かい手順はあまり気にせず、上手の玉の位置に注目してみましょう。今度は上手は玉を2二の地点に持っていき、棒銀での攻めを受け止めようという指し手です。2三の地点に利いている駒が2枚あるため、簡単には攻め切れません。
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【図3-2 やはり歩を捨てて攻めに行く】
図3-1からはやはり2筋の歩を捨てて攻めを開始します。上手の玉の位置によって攻め方がどのように変わっていくのか見ていきましょう。
銀が取られそうだが、ここが定跡
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【図3-3 銀が取られそうだが…】
図3-2から数手進めてみます。上手が△2三歩と打って、下手の銀が取られそうになってしまいました。しかしここで下手の好手があります。知らないと指せない手かもしれませんが、考えてみてください。
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【図3-4 銀をタダで捨てるのが定跡】
図3-3からは銀をタダで捨ててしまうのが定跡です。一見すると下手が悪く見えますが、ここからうまく攻めていく順があります。
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【図3-5 銀を取られたが、攻め続く】
下手は銀を取られて駒損してしまいましたが、▲2四歩と打って攻めが続きます。駒損してしまってもその後厳しい攻めが続けば、相手の駒を取りながら駒損を回復できるのです。さらにここからの攻めを見ていきましょう。
銀金交換になれば下手が駒得で良し
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【図3-6 結果的には銀金交換】
図3-5から上手がこちらの歩を取ってくれれば、相手の金を取ることができ、結果的には銀金交換の駒得になりました。これで下手が優勢に進められるでしょう。
上手が金を逃がしてもうまくいかない
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【図3-7 上手が金を逃がした場合】
図3-5 から別の指し手を見ていきます。上手が金を逃がした場合は▲2三歩成としてと金を作ります。と金は、金と同じ働きができるうえに、相手に取られてしまっても相手の持ち駒には歩しか増えません。そのため非常に価値が高い駒とされています。図3-7からは下手のある一手で一気に勝勢になりますが、どのような手を指せばいいかわかりますか?
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【図3-8 と金で攻めていく】
図3-7からは▲3三ととしました。これに対して上手が△同金と取ると▲同角成と馬を作りながら金を取ることができるため、下手勝勢になります。そのため△4四金と逃がしました。しかしここから下手には狙いの手がありました。考えてみましょう。
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【図3-9 なんと、上手の玉が詰んでしまう】
実は図3-8から三手で上手の玉が詰んでしまいました。図3-9では上手がどのような手を指しても玉が取られてしまうことを確認してみてください。
龍や馬を作ったら終盤戦!相手玉を詰めよう!
実際の8枚落ちでの対局では、龍や馬を作った後も対局は続きます。龍や馬ができたらいよいよ相手玉を攻めていく段階に入るのですが、うまい攻めを身に着けるためには詰みの形をたくさん知っておくのが良いでしょう。以下の記事では初心者向けの詰将棋の問題をいくつか紹介しているため、これらで勉強して終盤力をアップさせましょう。
まとめ
- 飛車や角を龍や馬にするのを狙う
- 飛車、銀、歩を連携させる棒銀の攻めを覚える
- 歩を捨てるところから攻めを始める
今回は8枚落ちの定跡を解説しました。8枚落ちをマスターした人は6枚落ちにもチャレンジしてみましょう。6枚落ち定跡は以下の記事で解説しています。
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