今回の記事では、居飛車急戦で石田流を対策するための棒金戦法の指し方について解説していきます。
なお振り飛車党の方で石田流対策をしたい方は以下の記事も参考にしてみて下しさい。
目次
参考棋書:石田流を破るための9の鉄則と15の技術
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対石田流の基本の駒組み
3手目に▲7五歩からの石田流
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【図1-1 3手目▲7五歩が石田流の合図】
初手から、▲7六歩、△3四歩、▲7五歩と進んだのがテーマ図です。先手が7筋の歩を伸ばしてきたのは、▲7八飛として飛車を使っていく手を狙っています。今回はこの形から棒金戦法の指し方を見ていきます。
※なお、今回は後手の立場で解説しているため盤面を反転しています。
△4二玉がポイント
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【図1-2 △4二玉がポイント】
4手目は△4二玉と玉を上がっておくことを覚えておきましょう。それに対し先手は▲6六歩として角道を閉じ、乱戦を避けてきました。
△4二玉と上がっておかないとどうなるのかについては以下の補足を参照ください。
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【図a-1 筋違いの角打ちが急所】
図1-1 から△4二玉、▲7八飛と飛車を回ってきた場合を考えます。この変化は早石田と呼ばれています。先手が早石田の構えを取ってきたら△8八角、▲同角、△4五角と筋違いに角を打つのが定跡です。次の△2七角成と△6七角成を先手は同時に受けることができず、確実に馬を作れます。
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【図a-2 △4二玉としていれば△3三桂で…】
ただし、図a-1の変化の前に△4二玉の1手を入れていないと、先手からの返し技があります。例えば△4二玉の代わりに△6二銀などとしてしまうと、▲5五角が厳しい一手になります(図a-2)。もし△4二玉としていれば△3三桂として受けることができました。
先手を浮き飛車にさせる
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【図1-3 先手を浮き飛車にさせる】
図1-2 からは素早く飛車先を突いていきます。後手の△8五飛に対し、先手が飛車先を受けるには▲7六飛と浮き飛車にするよりありません。先手はこの前にできてきた飛車を金で押さえ込むのを狙っていきます。
△6三銀で7筋を守ろう
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【図1-4 △6三銀で7筋を守る】
図1-3からは穏やかな駒組みが続きます。後手は△6三銀の形を目指し、7筋からの歩の交換を防いでいきます。
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【図b-1 先手がすぐに攻めてきたら】
先手がすぐに7筋の歩を突いてきて攻めてきた場合を考えます。先手の▲7四歩に対しては、△同歩と取らずに図b-1のように△7二飛と飛車を回るのをオススメします。
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【図b-2 飛車先の逆襲】
図b-1からは▲7三歩、△同銀とすすめば相手の飛車先を逆襲することができます。この後は銀を前に出していき相手の飛車を押さえ込んでいけば優勢でしょう。
棒金の駒組みを目指す
囲いは簡単に済ませる
金を前線に繰り出そう
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【図2-2 金を前進させる】
先手は▲7七桂~▲9七角として石田流の形を完成させます。一方で後手は△7二金~△8三金と金を前に出していくのが棒金戦法の構えです。金は銀と違い横にも動けるため、前進して相手の大駒を圧迫するのに適した駒です。飛車の逃げ道が狭い石田流に対して金で圧迫していく棒金戦法は相性抜群です。
7筋から歩を入手するのがポイント
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【図2-3 7筋から歩を入手する】
図2-2から後手はいきなり仕掛けていきます。△7四歩から歩を入手していくのが棒金の仕掛けの第一歩です。
- ▲7五歩として収める
- ▲6五歩からの捌き
棒金の理想的な攻め筋
まずは図2-3から▲7五歩としてきた場合を見ていきます。
△7二飛として力を貯める
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【図3-1 7筋からの攻めを狙う】
まずは先手が▲7五歩としてきた場合を見ていきます。後手は一旦△8四金と横に金を逃がしてから△7二飛と回り、7筋からの攻めを狙っていきます。
端の突き捨てから攻める
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【図3-3 まずは端に手をかける】
棒金の攻めの基本は、端からの攻めです。9筋の歩を突き捨て、△9六歩と叩き込みます。先手がもしこれに対して▲同飛と取れば△9五香で田楽刺しが決まります。
先手の大駒を押さえ込んでいく
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【図3-4 飛車をいじめる】
先手の角が8八に逃げたら、7五の地点の利きがなくなるため△7五金と前に出ることができます。飛車を押さえこんでいき後手ペースになってきました。
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【図3-5 後手優勢】
図3-4からは8筋、6筋の歩を突き捨ててから△8七歩と叩けば完全に後手優勢です。図3-5から先手の角が逃げれば△7七角成と桂馬が取れます。
▲6五歩から捌きを狙ってきたら?
次に 図2-3 から▲6五歩としてきた場合を見ていきます。
▲6五歩の突き捨てから捌きを狙う
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【図4-1 石田流からの捌き】
図2-3 から▲6五歩、△同歩、▲6四歩と進みました。後手はこれに対して△同金なら▲7一飛成、△同銀なら▲7四飛で困ったようにも見えます。
銀取りを無視して飛車に働きかける
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【図4-2 銀取りを無視】
図4-1からは銀取りを無視して△7五歩とするのが正解です。さらにここか数手進めていきましょう。
とにかく石田流側に駒を捌かせないこと
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【図4-3 相手の大駒を捌かせない】
図4-2からは▲7五角とする手が成立します。一見△同金、▲同飛で後手が駒毒の有利のようにも思えますが、角を捌いた石田流の方が戦いやすくなってしまいます。棒金戦法では、とにかく石田流の大駒を捌かせないように戦っていくのがポイントとなります。
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【図4-4 とにかく相手の大駒を働かせない】
とにかく相手の大駒を働かせないように指していくのがポイントです。図4-4からはさらに△7五歩などと押さえ込むのを狙っていきます。
棒金が成功しにくい場合
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【図5-1 石田流が▲7七桂と▲9七角を保留】
図5-1のように、石田流が▲7七桂と▲9七角を保留している形では棒金戦法はうまくいかない場合が多いです。石田流はいつでも▲6五歩から角交換に持ち込むことができ、大駒を捌かれてしまうのです。
棒金戦法以外の石田流対策を知りたい方は、以下の棋書が参考になります。お手軽な棒金のほかにいくつか対策方法を知っておくことで、さらに戦術の幅が広がります。
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まとめ
- 石田流に対しては4手目に△4二玉と上がること
- △7二金~△8三金と金を前に出していく
- △7四歩から歩の交換を狙うのがポイント
- ▲7五歩と局面を収めに来たら端からの攻めを狙う
- ▲6五歩と捌きに来たら、とにかく相手の大駒を働かせないように指しまわす
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