今回の記事では、超速2枚銀でゴキゲン中飛車と戦う手順を解説していきます。
参考棋書:決定版!超速▲3七銀戦法
超速▲3七銀の駒組み
ゴキゲン中飛車の基本形
図1-1は、ゴキゲン中飛車の基本形です。今回は、この形から超速▲3七銀に組んでいく手順を見ていきましょう。
超速▲3七銀の形に!銀を上げるスペースを作る
ゴキゲン中飛車に対して、▲3六歩と素早く3筋から動くのが超速▲3七銀の駒組みです。ここから▲3七銀と出ていくのを狙っています。
ゴキゲン中飛車側は、ここから囲いを優先させる指し方と、居飛車に合わせて銀を進めていく「銀対抗」という指し方があります。
超速2枚銀の基本の狙い、5五の歩を攻める
素早く▲4六銀と上がる
超速▲3七銀では、素早く銀を▲4六銀まで上がるのが駒組みのポイントです。居飛車は、5五の地点に利きを集めて、5五の歩を取りに行くのが狙いです。対してゴキゲン中飛車側は、片美濃囲いを目指しています。
2枚銀の駒組みで5筋の奪還を狙え!
左側の銀も、▲6八銀~▲7七銀~▲6六銀と前に進めていきます。このように、左右の銀を前に進めていく駒組みを「2枚銀」と言います。次に▲5五銀左と歩を取るのが狙いで、ゴキゲン中飛車側はこの歩を取られると攻め手がなくなってしまいます。
△5六歩からの仕掛けはもう手遅れ
ゴキゲン中飛車は、慌てて5筋の歩を交換しに行きましたが、すでに手遅れです。5筋の歩を交換したタイミングで▲5五歩と蓋をしてしまえば相手の飛車は動けなくなります。
銀対抗の駒組み、超速2枚銀に組む
ゴキゲン中飛車側も5筋に戦力を足す
図1-2 まで戻り、別の指し手を見ていきます。今度はゴキゲン中飛車側も素早く銀を前に出し、5五の地点に利きを足してきました。このように銀が向かい合う駒組みを「銀対抗」と呼びます。
やはり2枚銀に組むが…
ここからは、やはり2枚銀の形に組んでいくのが定跡です。ただし銀対抗の形では、居飛車も振り飛車も5五の地点に利きが3枚あるため、そのまま▲5五銀左と歩を取るわけにはいきません。
桂跳ねで、角を退かして5筋を取り返そう!
ゴキゲン中飛車側は、とりあえず5五の地点はしばらく安全なので片美濃囲いを組んできました。こちらは▲3七桂と跳ねて攻めの準備をしておきましょう。この手は、▲4五桂として相手の角に働きかけ利きを逸らして、▲5五銀左としていく狙いです。
▲2九飛と間合いを取ってから、▲4五桂で仕掛ける
▲4五桂と仕掛ける前に、▲2九飛と飛車を引いておくのが定跡です。この手の意味は、下の補足で解説するため、とりあえず手を進めてみましょう。
いよいよ▲4五桂から仕掛けていきます。これに対して、ゴキゲン中飛車側が△2二角と引く形と、△4二角と引く形を見ていきましょう。
△2二角には、飛車先の歩を交換
図3-5から、ゴキゲン中飛車側が△2二角と引いてきたら、飛車先交換から横歩を取ってしまいましょう。ここで相手が△3三桂などと指して来たら、角のラインが止まるため▲5五銀左と5筋の歩を取れます。
△4二角と角の利きが逸れたら、5筋の歩を取りに行く
図3-5まで戻り、別の指し手を見ていきます。今度は△4二角と角を引いてました。ここでは角の利きが5五からずれるので、▲5五銀左から歩を取りに行きます。△同銀、▲同角と進んだ局面は居飛車側の角が香車に当たっていて、ゴキゲン中飛車側は忙しくなります。
△3三桂と香車を守ってきたら、▲5三銀と打ち込んでいきます。これに対して△同飛なら▲同桂成として飛車を取って居飛車良し、△同角なら▲3三桂成から攻めていく手が厳しくなります。
今回解説した手順では、▲4五桂と跳ねる前に▲2九飛と飛車を引いていましたが、この手を省略するとどうなるのでしょうか。図a-1の局面は、▲2九飛と引かずに▲4五桂と仕掛け、△4二角、▲5五銀左、△同銀、▲同角と進んだ局面です。
図a-1からは、△同飛、▲同銀、△3七角という手が厳しい切り返しになります。この角打ちが飛車銀両取りになるため、あらかじめ▲2九飛と引いておく必要があったのです。
ゴキゲン中飛車側は、超速2枚銀に対して金美濃という囲いを組んでくることがあります。これは5三の地点に利きをつけておく狙いがあり、▲5三銀といった筋を消しています。
ゴキゲン中飛車が素早く5筋から攻めてきたら?
5筋からの攻めには角交換!
ここでは、角交換して▲6五角と打てば居飛車側が良くなります。相手は馬を作る手を受けることができません。
△5五角の切り返しに注意
▲3七銀の手が入っていないと、飛車のコビンが開いているため△5五角のさらなる切り返しがあります。図4-3からは角交換せずに、おとなしく▲5七銀などと指しておくべきでした。
まとめ
- 右銀を素早く▲3七銀~▲4六銀と上げていく
- 左銀も▲6八銀~▲7七銀~▲6六銀と上げる
- 5五に利きを集めて、5筋の歩を取るのを狙う
- 銀対抗の形に対しては、▲2九飛~▲4五桂から仕掛ける