角交換振り飛車

角交換四間飛車の基本

投稿日: 10/08/2018 更新日:

今回は角交換四間飛車の基本的な指し方について説明していきます。角交換四間飛車は、古くからあるノーマル四間飛車と異なり、角道を開けたまま駒組みを進めるのが特長です。

振り飛車側からガンガン攻めていけるため、普通の振り飛車とは少し違った感覚で指せて楽しい戦法です。

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角交換四間飛車の基本形

まずは角交換四間飛車の基本図をご覧ください。

角交換四間飛車

【角交換四間飛車の基本図】

通常の四間飛車では、7七の地点に角を置いて飛車先を守るのですが、7七銀として飛車先を受けているのがポイントです。また、先手は向かい飛車に構えており、角交換四間飛車では基本的に角交換をした後に向かい飛車に振りなおします

角交換四間飛車の最大の特長として、ノーマル四間飛車と異なり自分から仕掛けていくことができることが挙げられます。今回の記事では、角交換四間飛車の基本的な攻め筋である「逆棒銀」について解説していきます。

 

まずは角交換し、向かい飛車に振りなおす

こちらから角交換を仕掛ける

初手から ▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 △8四歩 ▲4八玉 △6二銀 ▲3八玉 △4二玉 として図1-1。

角交換のタイミング

【図1-1 4二玉と上がった瞬間がねらい目】

初手から平凡に進んでいきます。先手は角道を開けたまま四間飛車に構え、美濃囲いを目指しています。一方の後手は居飛車の構えで、4二玉と上がり囲いに手を付けようとしています。

このタイミングで逃してはならない手があります。

 

図1-1から ▲2二角成 △同銀 として図1-2。

角交換

【図1-2 こちらから角交換する】

後手が△4二玉としたタイミングで角交換しましょう。▲2二角成に△同銀と取らせるのが狙いです。2二銀は「壁銀(かべぎん)」と呼ばれる形で、玉の逃げ道をふさぐ悪い形とされています。さらに後手を壁銀の形にさせると、ここから左美濃や穴熊といった強い囲いに組むのが手損となるため、先手は少し得をしたことになります。

 

補足:飛車先を早めに伸ばしてきた場合

初手から ▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 △8四歩 ▲4八玉 △8五歩 と進んだ図a-1をご覧ください。

飛車先

【図a-1 早めに飛車先を伸ばす】

後手が早めに飛車先の歩を伸ばしてきたところです。これに対してはどのように対処すればよいでしょうか?このタイミングで▲2二角成、△同銀、▲8八銀とするのも一局ですが、実はこの飛車先の歩は無視してしまっても大丈夫なのです。

例えばこの後▲3八玉と飛車先を受けなかったとします。ここから後手が飛車先突破を狙っても、△8六歩、▲同歩、△同飛、▲2二角成、△同銀、▲7七角とすすみ、飛車銀両取りとなります。

飛車銀両取り

【図a-2 飛車銀両取りになる】

この両取りを受けるには、後手は△8二飛と下がるしかありませんが、ここで▲8四歩と垂らすのが好手です。

歩の垂らし

【図a-3 歩の垂らしが好手】

この歩に対して△同飛と取れば▲2二角成と銀がタダで取れるうえ、無視していると▲8八飛~▲8三歩成と進むのが厳しくなります。

美濃囲いを目指す

図1-2 から ▲8八銀 △8五歩 ▲7七銀 として図1-3。

角交換四間飛車

【図1-3 銀で飛車先を受ける】

ここから美濃囲いを組んでいくのですが、その前に飛車先を受けるために銀を7七に上がっておきます。

 

図1-3から △3二玉 ▲2八玉 △3三銀 ▲3八銀 △5二金右 として図1-4。

片美濃囲い

【図1-4 片美濃囲いの完成】

先手は片美濃囲いを完成させました。また後手は壁銀を解消し、矢倉囲いを目指しています。なお角交換振り飛車で美濃囲いを組むときの注意点として、▲3八銀と上がる前に玉を2八まで潜っておくことを忘れないようにしましょう。△2八角と打たれてしまうと図1-4'のようにいきなり敗勢になってしまいます。

角打ち

【図1-4' 美濃を組むのときの角打ちに注意】

向かい飛車に振りなおす

図1-4から ▲8八飛 として図1-5。

向かい飛車

【図1-5 向かい飛車に振りなおす】

飛車を向かい飛車に振りなおし、角交換四間飛車の基本形となりました。ここから角交換振り飛車からのさまざまな仕掛けを見ていきましょう。

 

補足:いきなり向かい飛車に振ってはいけないの?

一度四間飛車に振ってから向かい飛車に振りなおすのであれば、いきなり向かい飛車に振ってしまった方が手得できてよいように思えます。しかしいきなり向かい飛車に振ってしまうと、図bのように△4五角という手がでてきます。

ダイレクト向かい飛車

【図b 4五角打ちが両取りに】

これは△2七角成と△6七角成を同時に見ている手です。もし四間飛車に振っていれば6七の歩を守れていたので、このような手は発生しません。

なおこの変化はダイレクト向かい飛車と呼ばれ、この後正しく指せば振り飛車側が悪くなるわけではありません。ただし初心者には難解な変化も多いため、最初の内は一度四間飛車に回ってから向かい飛車に振りなおす変化を指すことをおすすめします。

逆棒銀が成功するパターン

ここからは角交換四間飛車の基本的な攻め筋である逆棒銀の手順を見ていきます。まずは 図1-5 から後手が特に対応せず、囲いを固めてきた場合を考えていきましょう。

 

図1-5 から △4二金 ▲8六歩 △同歩 ▲同銀 として図2-1。

【図2-1 逆棒銀が成功】

後手が△4二金などと囲いを固めてきた場合は、8筋からの逆襲が成功します。こちらから8筋の歩をついて、銀をズンズンすすめていきます。このように向かい飛車に構えて8筋を銀で逆襲していく攻め方を「逆棒銀」といいます。ここから▲8五銀~▲8四銀と進めていくのが楽しみな局面です。

すでに先手が優勢となりましたが、もう少し変化を見ていきます。

 

図2-1から △7四歩 ▲8五銀 △7三銀 ▲8四歩 として図2-2。

角交換四間飛車

【図2-2 歩でじっくり抑える】

後手は慌てて7筋から銀を進出してきますがもう間に合いません。後手の7三銀に合わせて7四歩と抑えてしまえば、先手の陣形が伸び伸びとして指しやすくなります。

 

図2-2から △2二玉 ▲7五歩 △同歩 ▲5六角 として図2-3。

筋違いの角打ち

【図2-3 5六角で決まり】

7筋の歩を捨てて、5六角と筋違いに角を打てば8筋の突破が確実になります。

 

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逆棒銀の失敗例

今度は後手が逆棒銀をあらかじめ受けてきた場合を考えてみましょう。 図1-5 から△7四歩と進んだ局面が図3-1です。

逆棒銀

【図3-1 後手が逆棒銀を受けてきた】

普通に逆棒銀を狙うと失敗する

まずは先ほどと同様に逆棒銀を狙うとどうなるのか見ていきましょう。

図3-1から ▲8六歩 △同歩 ▲同銀 △7三桂 として図3-2。

逆棒銀失敗

【図3-2 桂馬を跳ねられると攻め手がない】

後手が桂馬を跳ねてくるとこれ以上攻め手がないのがわかりますか?後手があらかじめ7筋の歩を突いているときには逆棒銀は成立しないと覚えておきましょう。

 

7筋に手をつける

後手が7四歩と突いた図3-1にもどります。後手が7筋の歩を突いてきたときは、今度は視点を変えて7筋から攻めていくのが好手となります。

図3-1から ▲6六銀 として図3-3。

角交換四間飛車

【図3-3 7筋を狙っていく】

今度は▲6六銀と上がっていきます。ノーマル四間飛車と異なり角道を開けているため、自然に▲6六銀と上がっていけるのは角交換四間飛車の大きな特徴です。

 

7筋を絡めた攻め

ここからは7筋を絡めた角交換四間飛車の攻め筋を見ていきます。

歩を使って飛車のラインをずらす手筋

図3-3から △7三銀 ▲7五歩 △同歩 ▲同銀 △7四歩 ▲6六銀 として図4-1。

角交換四間飛車

【図4-1 7筋の歩を交換】

後手が△7三銀と上がってきたのに対し、7筋の歩を交換しに行きます。△7四歩と銀をはじかれて攻め手がないように見えますが、1歩あることで攻め筋ができました。

 

図4-1から △6四銀 ▲7二歩 として図4-2。

角交換四間飛車

【図4-2 飛車のラインをずらす歩】

歩をもったら▲7二歩と打つ手筋が成立します。次に▲7一歩成と金を作れれば優勢となりますので、後手はこの歩を無視することはできません。

 

図4-2から △7二飛 ▲8六歩 として図4-3。

角交換四間飛車

【図4-3 8筋からの逆襲が決まる】

後手は△7二飛と歩を取りますが、飛車のラインがずれたことで8筋からの逆襲が決まります。これで先手が優勢となります。

 

後手が腰掛け銀を目指してきた場合

図3-3 から後手が△7三銀と進むと先手がよくなりました。では次に別の手を見ていきます。

図3-3 から △6四歩 として図4-4。

腰掛け銀

【図4-4 後手は腰掛け銀を目指す】

後手は△6四歩としてきました。これは次に△6三銀として腰掛け銀の構えをみせています。

 

図4-4から ▲7五歩 △同歩 ▲同銀 として図4-5。

【図4-5 7筋の歩を交換】

やはりここでも7筋の歩の交換が好手です。

 

図4-5から △6三銀 ▲7四歩 として図4-6。

攻めの拠点を作る

【図4-6 攻めの拠点を作る】

後手は△6三銀と上がってきます。後手がこの形のときは7二歩打からの8筋逆襲ができない点に注目してください。しかし、7四の高い位置に歩を打てば先手の陣形がのびのびして指しやすくなります。

ここからは▲4六角打などから攻め手を作っていきます。

 

△4四角の攻防

図4-5 に戻って別の手を考えます。

図4-5 から △4四角 として図4-7。

角交換四間飛車

【図4-7 4四の角打ち】

先手の銀が動いたタイミングを見て、後手は4四に角を打ってきました。この角打ちは実戦でもよく現れるため、対処方法を知っておきましょう。どのように受けるのが正解でしょうか。

 

図4-7から ▲6六角 △同角 ▲同銀 として図4-8。

角交換四間飛車

【図4-8 銀を下がる】

▲6六角と合わせてから銀を下がるのが正解です。これ以外の変化は下の補足にまとめているので、参考にしてください。

先手は銀を下げられてしまい攻め手がなくなるので持久戦模様になっていきます。美濃囲いに手を付けていくのですが、その前に忘れてはいけない手があります。

 

図4-8から △6三銀 ▲7八飛 △7四歩 として図4-9。

歩を使わせる

【図4-9 後手に歩を使わせる】

飛車を7筋に回って歩を打たせます。この後はもう一度飛車を8筋に戻してから囲いを固めていきます

 

補足:角打ちの攻防のまとめ

図4-7 から、今回は▲6六角、△同角、▲同銀と変化していきましたが、別の変化ではなぜいけないのか見ていきます。

①▲6六銀とした場合

▲6六銀とすると、△6五歩と銀をいじめられます。ここから▲7七銀と下がっても今度は△7四歩が激痛です。

【図c-1 銀がいじめられて失敗】

 

②▲7七角とした場合

△同角、▲同桂に△7四歩で桂馬が助かりません。

【図c-2 桂損が確定】

 

③▲6六角、△同角、▲同歩とした場合

△6七角の隙ができてしまいます。なお先手が片美濃囲いではなく、美濃囲いまで組んでいれば6七角と打たれることはないということも覚えておきましょう。

【図c-3 角打ちのスキができる】

まとめ

今回は角交換四間飛車の基本として、逆棒銀の攻め筋について説明しました。どのようなときに逆棒銀の攻めが成立して、どのようなときに成立しないのかしっかり押さえておきましょう。

ポイントをまとめると、

  • 角交換四間飛車では美濃囲いを組んだら向かい飛車に振りなおす
  • 逆棒銀で8筋の逆襲を狙うのが基本
  • 居飛車側が7筋の歩を突いているときは逆棒銀は成立しない
  • 逆棒銀が成立しないときは7筋の歩の交換を狙う

となります。

角交換四間飛車についてさらにじっくり勉強したいという方は、藤井猛先生の「角交換四間飛車を指しこなす本」を一読されることをおすすめします。居飛車側からのうまい受けや攻めにどのように対処すればいいのか勉強になります。

また今回紹介しきれなかった振り飛車側からの攻め筋もたくさん解説されています。


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角交換

【図1-2 こちらから角交換する】

向かい飛車

【図1-5 向かい飛車に振りなおす】

角交換四間飛車

【図3-3 7筋を狙っていく】

【図4-5 7筋の歩を交換】

角交換四間飛車

【図4-7 4四の角打ち】