美濃囲いは振り飛車で使われる代表的な囲いで、将棋を指す方なら1度は相手をしたことがある囲いでしょう。この美濃囲いは、横からの攻めに強く縦からの攻めに弱いと言われています。
相振り飛車で美濃囲いに組まれた時、縦から合攻めて崩す手筋を5つ紹介したいと思います。
金無双崩しはこちら↓
参考棋書:全戦型対応! 囲いの破り方
▲5六角とする攻め
棒銀風に上から美濃囲いを崩していく手筋を見ていきましょう。飛車、銀、歩、角を組み合わせて攻めていくのですが、角の位置によって攻め方にパターンがあるので臨機応変に使い分けていきましょう。
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【図1-1 角交換している局面】
まずはオーソドックスな棒銀風の攻めから紹介します。図1-1では角交換しているのがポイントです。
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【図1-2 露骨な角打ちだが受けがない】
銀と飛車だけでは攻め駒が足りないので、いきなり▲5六角と打ってしまいます。これは8三に利きを足しています。
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【図1-3 狙いの棒銀】
5六角打ちの狙いはもちろん図1-3のように▲8四歩、△同歩、▲同銀の攻めていくことですが、後手はこれがわかっていても受けられないのです。
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【図1-4 こんなところに角を打ちたくない】
唯一の受けは図1-2から△9二角と打つくらいですが(図1-4)、今度は▲9五歩と端攻めから角をいじめていけば十分となります。
この5六に筋違いの角を打つのは、金無双を相手にするときにも有効です。相振り飛車では頻出の角打ちといえます。逆に相手からの筋違いの角打ちは常に警戒しながら駒組みを進めたいところです。
6六角型の攻め
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【図2-1 6六角型の場合】
次は角交換していないときに使える棒銀の攻め筋を紹介します。角が6六の地点にあることと、持ち歩が2枚あることがポイントです。
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【図2-2 歩のたたきがポイント】
▲8四歩、△同歩までは自然な手ですが、次に▲8三歩と叩くのがポイントです。この歩がないと、次に▲8四銀と出た後に手がなくなります。
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【図2-3 さらに歩を叩く】
歩を叩いた効果で後手の銀が8三の地点に上がってきたので、▲8四銀として銀交換を狙います。ただし、後手の銀を▲同飛と取る前にさらに▲8三歩と叩くのがポイントです。
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【図2-4 叩きの歩の効果で合駒できない】
あらかじめ歩を捨てておいた効果で、飛車を走ったときに合駒できないようになっています。ここからは飛車と取った銀を使ってじわじわ駒得していけば優勢です。
- 角交換している場合は▲5六角と打つ
- 角交換していないときは▲6六角と構える
- 叩きの歩がポイント
端攻めは美濃囲いの最大の弱点!
棒銀の次は端攻めの手筋を見ていきます。端は美濃囲いの最大の弱点ともいえるため、相振り飛車を指すなら端攻めはしっかり押さえておきたいところです。
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【図3-1 端攻めの基本図】
まずは端攻めの基本の形から見ていきます。端攻めが成立するかどうかは、お互いが持っている歩の枚数や、端歩を突いているか、桂馬の位置など様々な要因で決まってきます。今回は端を突き越していて、角が6六に構えているときの端攻めを見ていきます。
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【図3-2 9三に歩を打つのが端攻めの基本】
端歩を突き捨てて、9三の地点に歩を打つのが端攻めの基本となります。後手がこれを無視してきたら▲9四香と走ります。また△同桂に対しても▲9四香と走る手が良い手です。
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【図3-3 桂馬で香を狙う】
後手の香車を桂馬で狙っていきます。香車は後ろに下がれないため、一度前に出てしまうと動けなくなってしまうのです。
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【図3-4 端が陥落】
香車をとって端が陥落します。ここからは▲9二飛と回る手や、▲8四角などとして端に駒を足していく手が厳しくなります。
棒銀を組み合わせた端攻め
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【図4-1 端攻めと棒銀の組み合わせ】
次は棒銀と端攻めを組み合わせた崩し方の紹介です。これも頻出の手筋となります。
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【図4-2 まずは端歩から】
まずは端の歩から捨てるのがポイントです。この突き捨ての意味はここから数手進めるとわかります。
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【図4-3 銀香交換に持ち込むのがポイント】
ここから8筋に手を付けて棒銀らしく攻めていきます。△8三歩としっかり守られると攻め駒が足りないようですが、▲9五銀と下がって攻めが続きます。こうして銀を9筋に下がれるようにあらかじめ端を突き捨てていたのです。
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【図4-4 香車を足して端を攻める】
銀香交換の駒損となりますが、相手の端を守っている香車を剥がせたのが大きく、▲9九香と端を重点的に攻めていけば先手良しです。
香車をかすめ取る頻出手筋
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【図5-1 香車をかすめ取る手順】
最後に美濃囲いの香車をかすめ取る手筋を紹介したいと思います。すぐに囲いが崩せるわけではありませんが、駒得しながら美濃囲いを弱体化できる手順なので実戦で使ってみてください。
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【図5-2 まずはいつもの手筋】
まずは端攻めのいつもの手筋で攻めます。端歩を突き捨ててから▲9三歩と打ちます。
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【図5-3 香得が確定】
△9三香として来たら、さらに▲9四歩で香車を吊り上げますそのあと香車を銀で取りに行けば駒得です。ここからすぐに美濃囲いが崩れるわけではありませんが、端を守る要の駒を剥がしながら駒得できました。ここからはじっくり指せば先手がよくなってくるでしょう。
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【図a-1 いきなり▲9四歩と打つ手は?】
ここまで読んでくれた方の中には、図5-1から▲9五歩、△同歩、▲9四歩と打つ手を考えた方もいらっしゃるかもしれません。ここで後手が△同香としてくれれば▲8五銀で香車が取れるうえ、歩を1枚節約できる形になります。
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【図a-2 端歩を無視される】
しかし図a-1では後手が9四の歩を無視してくることが考えられます。こうなると次に▲9五香と香車を走っても、△9二歩で受けられてしまいます。
まとめ
さらにいろいろな美濃崩しの手筋を知りたい方は、囲い崩しの本で勉強されることをおすすめします。様々な手筋がわかりやすく紹介されていて、棋力向上間違いなしです。
図4ー3
△9五同香と取れませんよ。
開き王手ですから。
ご指摘ありがとうございます!
確認してみたところ、局面図にミスがあったようです。
正しくは8三の地点に後手の歩がある形になります