相振り飛車

中飛車対策 石田流vs中飛車

投稿日: 08/26/2018 更新日:

キャラクターイラスト:さゆ吉様

将棋初心者の方によく勧められる戦法の一つに四間飛車がありますね。駒組みもわかりやすく勝ちやすい戦法ので、採用されている方も多いとのではないでしょうか。そんな振り飛車党の初心者の方がぶつかる壁のひとつが、相手も振り飛車にしたときの指し手がわからないことだと思います。級位者向けの振り飛車の本を買っても、居飛車と戦う対抗形ばかりで相振り飛車って載っていないことが多いんですよね。

歩美
私相振り飛車って苦手です…。こっちが囲いを組む前にガンガン攻められて負けちゃいます!
香介
初心者はとくに相振り飛車が苦手な人が多いね

 

特に振り飛車の中でも攻撃的な中飛車は、苦手意識のある方が多い戦法です。少し受け間違えると5筋からの集中砲火で序盤早々自陣が崩壊してしまいます。そこで今回は振り飛車党の方に向けて、相振り飛車での中飛車対策を紹介します。

歩美
ゴキゲン中飛車っていうんでしたっけ??5筋をガンガン攻めれれると美濃囲いがあっさり崩壊します
香介
今回はそんな中飛車の対策を解説していくよ。

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参考棋書:石田流を指しこなす本【相振り飛車編】

香介
今回の記事は浅川書房の「石田流を指しこなす本”相振り飛車編”」を参考にしたよ。記事では書き切れなかった左穴熊の対処法を含めた細かい変化が載ってるので、よかったら読んでみてね。

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歩美
それではここからが本編です!私たちと一緒に中飛車対策をマスターしちゃいましょう!!

YouTubeの動画で学ぶ右四間飛車左美濃

香介
今回の記事は動画でも解説しているよ!

歩美
サイトで学んだ内容を動画で復習すればバッチリですね!

序盤は飛車を振る前に銀を上げる

△5四歩を見たら中飛車を意識しよう

初手からの指し手
▲7六歩、△3四歩、▲6六歩、△5四歩(図1-1)

【図1-1 △5四歩として5筋に手を付ける】

【図1-1 △5四歩として5筋に手を付ける】

後手の△5四歩は中飛車を見せる手ですが、このまま居飛車で対抗形に組むこともできる手です。今回の記事では三間飛車での中飛車対策を紹介するため、後手はこれからもちろん中飛車に振ってきます。しかし実戦ではまだ後手の戦法がはっきりしない以上、先手も飛車を振るのは保留したいです。

香介
今回、先手はノーマル振り飛車を指す人を想定して、開けた角道を▲6六歩と閉じたところだ
歩美
後手は5筋の歩を突いてきましたね!中飛車にしてくるということでしょうか??
香介
たしかにいきなり5筋の歩を突いてきたら中飛車に組んでくる可能性が高いね!でもまだ後手の作戦はハッキリしないのでもう少し様子を見ておこう

 

銀を早めに上げる

図1-1からの指し手
▲7八銀、△5二飛(図1-2)

【図1-2 銀をはやめに上げる】

【図1-2 銀をはやめに上げる】

先手は▲7八銀と上がっておいたのに対し、後手は中飛車に振ってきました。後手の作戦がハッキリしたところで先手も飛車を振りたいのですが、その前に指しておくべき手があります。

香介
先手は様子をみるために▲7八銀と上がったところだ
歩美
相手の出方をうかがっているという感じですか?
香介
その通り!相手の作戦を見てからこちらの飛車の振る筋を決めようってことだ

 

銀で5筋を守り、歩の交換を拒否

図1-2からの指し手
▲6七銀、△5五歩、▲7八飛(図1-3)

【図1-3 三間飛車 vs 中飛車の基本図】

【図1-3 三間飛車 vs 中飛車の基本図】

5筋をしっかり守っていくことで、乱戦に持ち込まれないようにしています。相手の攻めをしっかり受けてから三間飛車に振ることで、三間飛車vs中飛車の基本図となります。いよいよここから本格的な戦いを見ていきます。

歩美
先手は飛車を振る前に▲6七銀とするんですね!
香介
▲6七銀とすることで後手が5筋の歩を交換してくるのを防いでいるんだ!中飛車を相手にするときはこうして丁寧に相手の攻めを受け止めるのがコツだよ

 

中飛車側が中央棒銀で速攻を仕掛ける

中飛車側が銀を中央に進めてきたら

図1-3からの指し手
△4二銀 ▲7五歩 △5三銀(図2-1)

【図2-1 後手は早めに攻めの形を作る】

【図2-1 後手は早めに攻めの形を作る】

中飛車側は囲いも後回しに攻めの形を作ってきます。先手は早めに受けの形を作りたいところですが、まずは▲7五歩と上がっておきます(もし石田流を指される方で、三手目に▲7五歩と指すという人はこの局面から合流できます)。

香介
歩美さんは飛車を振った後はどうやって指していくのがいいと思う?
歩美
う~ん…?囲いを組んでいくんでしょうか??
香介
うん!それもいい考え方だね!ただ今回はまず▲7五歩と突く手を優先したい。その理由は後ほどわかるよ。

 

浮き飛車の形を作る

図2-1からの指し手
▲7六飛(図2-2)

【図2-2 浮き飛車にする】

【図2-2 浮き飛車にする】

▲7五歩と早めについたのは浮き飛車に構えるためでした。急いで浮き飛車に構えた理由は、ここから数手進めるとわかります。

 

飛車の横効きで5筋を受ける

図2-2からの指し手
△4四銀、▲7七桂、△4五銀、▲6五歩(図2-3)

【図2-3 飛車の横効きを通す】

【図2-3 飛車の横効きを通す】

▲6五歩と飛車の横効きを通せば、後手からの速い攻めがなくなります。これが急いで浮き飛車に構えた理由でした。また▲6五歩の前に桂馬を跳ねておくのもポイントで、角交換からの乱戦を防いでいます。

ここからゆっくり囲いに手を付けていきます。

歩美
すごい!▲6五歩と飛車の横効きを通せば中飛車の攻めを完全にシャットアウトできました!!
香介
これが早めに▲7五歩とした効果だね!▲7七桂としているのもポイントで、△5六歩から角交換を迫って乱戦に持ち込まれるのも防いでいるんだ。

補足
中飛車が先手のときは?

【図a-1 囲いに手を付ける】

【図a-1 囲いに手を付ける】

ここまでは三間飛車が先手で中飛車が後手の変化を見ています。しかし中飛車が先手だった場合には図2-3のように飛車の横効きで受けるには1手足りません。そのため無理に浮き飛車で受けるのではなくしっかり囲いに手を付けていく方がよいでしょう。

【図a-2 金を盛り上げていく】

【図a-2 金を盛り上げていく】

例えば図a-1のように、飛車先の歩を伸ばすのを保留して、早めに金を上がっておきます(図は先手と後手を反転しています)。

図a-1から中飛車側が▲6六銀と進出してきたら、△6四歩~△6三金と中央を盛り上げていきます。

【図a-3 銀を追い払ってよし】

【図a-3 銀を追い払ってよし】

中飛車側はここから▲9六歩~▲9七角と端角にして攻めていく手順もありますが、はやめに△7四歩と銀を追い払っておけば問題なしです。図a-3から後手は右矢倉に組んでいけば、自然と優勢になっていくでしょう。

 

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駒組みを完成させる

お互いに囲う、先手は金無双に

図2-3 からの指し手
△6二玉、▲5八金左、△7二銀、▲4八玉、△7一玉、▲3八玉、△8二玉、▲4八金直(図3-1)

【図3-1 金無双に組む】

【図3-1 金無双に組む】

お互いに早い攻めがないので囲いを組んでいきます。中飛車側は美濃囲いに、三間飛車側は金無双に組みました。

 

お互いに攻めの形を作る、先手は石田流に

図3-1からの指し手
△4四角 ▲9六歩 △3三桂 ▲9七角 △2四歩(図3-2)

【図3-2 先手は石田流の形に】

【図3-2 先手は石田流の形に】

囲いが完成にしたので、今度はお互いに攻めの形を作ります。後手は5筋からの攻めが厳しいとみて、向かい飛車に振りなおそうとしています。一方で先手は石田流の駒組みにしていきます。

ここまでで駒組みは終わり、いよいよ三間飛車の攻め筋を見ていきます。

香介
ここまでは穏やかな駒組みが続いたね
歩美
先手の駒組みは石田流ってやつですよね!!

 

石田流の攻め

歩の突き捨てから入る

図3-2からの指し手
▲6四歩、△同歩(図4-1)

【図4-1 ▲6四歩と突き捨てる】

【図4-1 ▲6四歩と突き捨てる】

先手は攻めの前にまず▲6四歩と突き捨てます。ここからの攻め筋は相振り飛車で美濃囲いを崩すときによく出てくる筋なので、よく覚えておきましょう。

香介
ここからいよいよ先手の攻めを見ていこう。
歩美
6筋の歩を突くんですか!?あまり意味がないようにみえますけど…

 

王手で角が飛び出す

図4-1からの指し手
▲7四歩、△同歩、▲6四角(図4-2)

【図4-2 王手しながら歩を取る】

【図4-2 王手しながら歩を取る】

6四に角を飛び出せば、王手となります。後手の受けは△7三銀か△7三桂などが考えられますが、△7三桂の場合は▲7四飛と走れます。

 

角を切って攻めを続ける

図4-2からの指し手
△7三銀、▲同角成、△同玉(図4-3)

【図4-3 角を切ってしまう】

【図4-3 角を切ってしまう】

後手は△7三銀と合駒したところで、なんと先手は同角成と角を切ってしまいます。ここで△同桂と角を取ってきたなら一旦▲7四飛と走り、次に飛車を引いて▲7四歩と打つのを狙います。△同玉と角を取られた場合は手がないように思えますが、ここで妙手があります。

歩美
角を切ってしまうんですか!??確かに後手の陣形はだいぶ乱れましたが、ここから攻め切れるんでしょうか?
香介
このあと実は良い手があるんだ!!

 

銀を捨てて優勢に

図4-3からの指し手
▲6四銀(図4-4)

【図4-4 銀も捨ててしまう】

【図4-4 銀も捨ててしまう】

さらに▲6四銀と取った銀をすぐに使ってしまいます。一見タダで取られてしまうようですが、次に狙いの1手があります。

 

合駒の効かない飛車での王手

図4-4からの指し手
△6四玉、▲6六飛(図4-5)

【図4-5 飛車で王手すれば合駒が効かない】

【図4-5 飛車で王手すれば合駒が効かない】

飛車で王手すれば、後手は合駒が効きません(6五の地点には桂馬が効いているため、合駒しても同飛と取られてしまいます)。

図4-5からの指し手
△5三玉、▲6一飛成(図4-6)

【図4-6 金をとりながら龍をつくる】

【図4-6 金をとりながら龍をつくる】

相手玉が逃げたところで▲6一飛成と金を取れば先手が勝勢です。駒割も角金交換で、次に金取りと桂取りが残っているうえ、▲6五桂と王手して攻めていく手も残っています。

歩美
ありゃりゃ!気付いたら先手は龍を作って金桂両取りだし、後手は美濃囲いがぼろぼろです!!
香介
この手順は知らないとちょっと指せないかもしれないね!でも実戦では意外とよく現れる形だからがんばってマスターしよう!ちなみに相振り飛車での他の美濃崩しの手筋は下の記事にまとめているよ!

 

まとめ

香介
今回は中飛車対策として、三間飛車に振って相振りにする手順を見てきたよ。ポイントを整理しよう!

POINT

  • はやめに6七銀と上がって5筋を受ける
  • 浮き飛車に構えて、石田流を組む
  • 6四歩の突き捨てから攻める
歩美
これで苦手だった中飛車相手にも戦えそうです!

これらの変化は以下の本を参考にしました。この本では中飛車の様々な攻め筋への対応だけでなく、向かい飛車や四間飛車などほかの相振り飛車の手順も豊富に載っています。

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また、相振り飛車全般のおすすめの棋書は以下の記事で紹介しています。


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【図2-3 飛車の横効きを通す】

【図2-3 飛車の横効きを通す】