今回の記事では、相矢倉の基本的な駒組みである24手組という定跡を解説していきます。
目次
参考棋書:矢倉の基本 駒組みと考え方
YouTubeの動画で学ぶ、矢倉戦法定跡
ゼロから始める将棋研究所のYouTubeチャンネルでは、動画で矢倉戦法の定跡を学べます。動画の内容は、ブログ記事とほとんど同じものとなっています。
相矢倉の基本形
図1-1は、相矢倉の基本的な形で、先手と後手がお互いに矢倉囲いを目指しています。図1-1の局面に至るまでは初手から24手かかり、1手1手が定跡化されていて矢倉24手組と呼ばれています。ただし、必ず正しい手順で指さなければいけないというわけではなく、あくまで相矢倉に至る基本的な指し方の一つと考えてください。
矢倉の基本24手組って?囲い方と定跡
▲6八銀として飛車先を突く手に備える
まず、初手から先手は角道を開けて、後手は飛車先を突きました。相手が飛車先を突いてきたら、▲6八銀と上がっておくのが基本です。これは△8五歩と飛車先を突いてこられた時に、▲7七銀として飛車先を受けられるようにしておくためです。
5手目は▲6六歩が主流
後手が△3四歩と角道を開けて来たら、▲6六歩として角道を閉じるのが基本です。これは角交換を防ぐ意味があります。なお▲6六歩の代わりに▲7七銀としても角交換を防ぐことができ、この手もよく指されています。
5筋の歩を突き合って、将来的な角の活用を図る
相矢倉に進むときは、5筋の歩を突き合います。これは、将来的に角を▲7九角(後手なら△3一角)と引いたときに、角のラインを通す狙いがあります。
カニ囲いが完成
先手は、矢倉囲いを組む途中の段階として、カニ囲いを完成させました。もしも後手がここから急戦を仕掛けてくれば、カニ囲いのまま戦いになることもあります。
さらに手を進めて、後手も遅れてカニ囲いを完成させました。
矢倉囲いの骨格を作る
先手は、手を進めて金銀の陣形を矢倉の形にしていきました。ここから玉を8八まで入城させれば矢倉囲いの完成となります。
24手組の完成
さらに手を進めて、矢倉24手組の形が完成しました。相矢倉に組むときは必ずこの手順で指さなければいけないわけではありませんが、指し方の参考にはなると思います。
24手組からの指し手の方針は?
基本の攻めは?▲3七銀戦法
矢倉24手組の基本形、 図2-7 からの指し手の一例を見ていきます。ここから▲3七銀とするのが「▲3七銀戦法」という形で、相矢倉での基本的な指し方になります。
角をぶつける!脇システム
▲3七銀戦法の形から、角をぶつけあう駒組みを「脇システム」と言います。いつでも角交換できる状態で駒組みを進めていくのが特徴で、どのタイミングで角を手持ちにするのかがカギになります。
相手の出方を見て後出しジャンケンを狙う、森下システム
矢倉24手組の基本形、 図2-7 から囲いを急ぐ指し方を「森下システム」と言います。攻めの形を決めずに相手の出方を伺うのが特徴です。
早囲いの組み方
▲7八金を後回しにして矢倉囲いを目指す
図2-3 まで戻り、矢倉24手組以外の駒組みを紹介していきます。▲7八金と指す手を後回しにするのが特徴で、「早囲い」と呼ばれている駒組みです。
1手早く矢倉囲いが完成!
角を▲7九角と引いて、玉を矢倉囲いに入城させるルートを作ります。矢倉24手組の駒組みでは金が7八にいるため、入城するにはさらに▲6八角と指す必要があります。
玉を8八玉まで移動させて、囲いの中に入れます。
最後に▲7八金と締まれば矢倉囲いの形が完成します。早囲いの駒組みでは、▲6八角と指す手を省くことができるため、1手早く囲いを完成させることができます。
早囲いに対して、相手が急戦に…
図4-2 まで戻り、早囲いに対して相手が工夫してきた場合を見ていきます。相手は素早く桂馬を跳ねて急戦を狙っていきます。
相手が素早く桂馬を跳ねてきて、早囲い側が指しにくい展開になってしまいました。△6五歩と突いてきた手に対して、▲同歩と取ると相手の角のラインに玉が入ってしまいます。早囲いでは6九の金が浮き駒になるため、速攻されるのが弱点になります。
まとめ
- 24手組の駒組みが基本
- 24手組からは▲3七銀から攻めの形を作る
- 早囲いという、1手得する駒組みも