今回の記事では、穴熊囲いの組み方や、そのバリエーションについて解説していきます。
目次
穴熊囲いとはどんな囲い?定義はあるの?特徴は?
穴熊囲いの基本形、香車の下に潜り込む
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【図1-1 穴熊の基本形】
図1-1のような囲いを、穴熊囲いもしくは単に「穴熊」といいます。香車の下に玉が潜り込んでいるのが特徴で、このように盤の隅の部分に玉を置くような囲いは総称して穴熊と呼ばれます。
穴熊の組み方は?手数がかかるのが欠点
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【図1-2 まずは玉を奥に】
穴熊囲いを組むときには、まず角を1マス前に出し、玉を奥に持っていきます。
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【図1-3 玉を隅っこに移動させて完成】
さらにそこから玉を隅っこに移動させ、銀で蓋をすれば穴熊の完成です。ここからはさらに金や銀をくっつけていって堅くしていきます。
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【図1-4 最もよく使われる形】
穴熊の基本形に、金を2枚くっつける形は最もスタンダードな穴熊の囲いです。ここまで金銀をくっつけると簡単には寄らない形になります。ただし、ここまで組むのにはかなり手数がかかってしまいます。
穴熊囲いの特徴、弱点は?攻めが細くなるので姿焼きに注意
穴熊囲いの特徴はとにかく堅いことで、終盤の寄せ合いの局面でその強さを発揮します。さらに囲いが崩されても持ち駒の金や銀ペタペタ貼っていくだけで囲いがどんどん再生していくのも強力なポイントです。
一方で、一度攻められてしまうと玉の逃げ道がなくあっさり詰んでしまうのが弱点です。また守りが堅い分攻めは細くなりがちなので、こちらの攻め手を完全に封じられてしまうことも多々あり、その場合は堅い穴熊がゆっくりと崩されていく展開になりがちです。このようにこちらに攻め手がなく穴熊がじわじわ崩されていく様子は「穴熊の姿焼き」とも呼ばれます。
穴熊にはいくつか弱点と崩し方のパターンがあり以下の記事で解説しています。知っておくことで終盤で相手から一歩リードを奪えるかもしれません。
穴熊囲いの種類、バリエーション一覧
居飛車穴熊
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【図2-1 居飛車穴熊】
最も基本的な穴熊である「居飛車穴熊」です。単に穴熊と言えばこの囲いを指すことが多いです。対振り飛車で使われる囲いで、振り飛車でよく使われる美濃囲いに比べて堅さで優っています。ただし、角頭を狙う攻めには若干弱くなっています。
松尾流穴熊
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【図2-2 松尾流穴熊】
居飛車穴熊の弱点である角頭をカバーしているのが「松尾流穴熊」です。右金を6七、左金を7八にくっつけるのが通常の居飛車穴熊の駒組みとは異なります。戦いの中で攻めの銀を7九までくっつけることができれば相当な堅さを発揮します。
ビッグ4
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【図2-3 ビッグ4】
金銀4枚で囲う最強の穴熊が「ビッグ4」です。ここまで組めればそれだけで優勢ですが、実戦ではここまで組ませてくれることはなかなかないでしょう。
銀冠穴熊
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【図2-4 銀冠穴熊】
左美濃囲いを発展させて組んだのが、「銀冠穴熊」です。通常の居飛車穴熊と比べ、隙を少なく組めることや、角道を開けたままでも組みやすいという点がメリットになります。
矢倉穴熊
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【図2-5 矢倉穴熊】
矢倉囲いから発展させて組むのが「矢倉穴熊」です。通常の居飛車穴熊は対振り飛車戦で用いられることが多いですが、この囲いは相居飛車で用いるのが基本です。
振り飛車穴熊
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【図2-6 振り飛車穴熊】
右側に穴熊を作るのが「振り飛車穴熊」です。名前の通り振り飛車で使われます。ここから袖飛車に振りなおして3筋から攻めるような順も見ているのが特徴です。
ミレニアム囲い(トーチカ)
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【図2-7 ミレニアム囲い】
香車の下ではなく、桂馬の下にもぐるのが「ミレニアム囲い」です。2000年頃、藤井システムの対策としてよく使われたためこの名前が付きました。通常の穴熊に比べて堅さの面では負けますが、相手の角のラインから玉を外しているのがポイントです。別名「トーチカ」とも呼ばれます。
串カツ囲い(端美濃囲い)
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【図2-8 串カツ囲い】
居飛車穴熊の香車と玉の位置を逆転させたのが「串カツ囲い」です。香車の上にある玉を、串にささったカツに例えています。ミレニアム囲いと同じく玉を相手の角の利きから外すのが狙いですが、端攻めに弱く実戦ではあまり使われません。