今回の記事では、四間飛車を使って将棋ゲーム「ハム将棋」と対戦した棋譜をみていきます。将棋初心者~3級程度の方向けにできる限りわかりやすく四間飛車の指し方を解説していきます。
Contents
ハム将棋って?初心者向けのパソコン将棋ゲーム
ハム将棋は、パソコンで遊べる無料将棋Flashゲームです。かなり昔からあるゲームですが、いまだに根強いファンも多いです。
コンピュータ将棋にありがちな不自然な指し手(終盤だけ以上に強いなど)があまりなく、棋力は大体5級程度と強すぎず弱すぎずといったところです。将棋を覚えたての人にとってはかなりの強敵ですが、本格的に将棋の勉強を始めていくとあっさり勝てるようになります。将棋初心者の方の中には、ハム将棋に勝てるようになることを最初の目標に置いている方も多くいらっしゃると思います。
四間飛車vs棒銀の定跡の解説
ハム将棋との棋譜解説の前に、四間飛車の定跡について書いた記事を紹介します。まずはこちらの定跡解説記事を読んでから、復習としてこの後の棋譜をご覧になると四間飛車の指し方の理解がグッと深まると思います。
四間飛車の基本
まずは四間飛車の駒組みの基本について学びます。
四間飛車で使う囲い
次に四間飛車でよく使われる囲いと、その発展形を見ていきます。
四間飛車の銀の位置
四間飛車は、銀の位置をどこに置くかによって戦い方の大まかな方針が決まります。なお今回の棋譜では7八銀型で戦っていきます。
四間飛車vs棒銀の基本
四間飛車vs棒銀戦法の基本定跡について解説しています。
四間飛車vs棒銀!序盤の駒組みは穏やかに
まずは四間飛車の基本形を組む

【図1-1 飛車を左から4列目に】
今回は後手がハム将棋となりました。先手はまず四間飛車の駒組みを目指していきます。飛車を左から4列目に動かしていきます。

【図1-2 角交換を避けるのがポイント】
ハム将棋が角道を開けてきました。ここは角交換を避けるために▲6六歩とするのがポイントです。四間飛車において角は相手の飛車の攻撃を守るための駒になるため、まずは角交換にならないように指していくのがコツです。
- 四間飛車を指すときは角交換を避ける

【図1-3 四間飛車の基本形の完成】
▲7七角~▲7八銀として四間飛車の基本形が完成しました。ここからは玉の守りに手を付けていきます。
相手が攻めてくるまでは囲いを固める

【図1-4 右側に玉を囲う】
四間飛車の形が完成したら、とにかく守りを固めましょう。四間飛車は基本的には守りの戦法のため、相手が攻めてくるまではひたすら囲いを堅くしていく手を指すのが基本です。なお四間飛車を含む振り飛車では、右側に玉の囲いを作るのがセオリーです。
- 四間飛車では、相手が攻めてくるまでは守りを固める手を指す

【図1-5 美濃囲いの完成】
先手はまずは美濃囲いを完成させました。この囲いは四間飛車で使われる最もスタンダードな囲いです。美濃囲いからはさらに高美濃囲い、銀冠へと発展させていく手を狙っていきます。
またハム将棋側の囲いはカニ囲いという囲いで、ここから矢倉囲いへの発展を狙っていると思われます。
ハム将棋は棒銀の構えに

【図1-6 ハム将棋は棒銀の構えに】
ハム将棋側は銀を8四の地点まで前進させてきました。この構えは棒銀と呼ばれる形です。歩、銀、飛車が一直線に並ぶ攻撃的な陣形です。一方の四間飛車側は、美濃囲いから高美濃囲いへの組み換えを目指して▲4六歩と突いています。
中盤の仕掛けと四間飛車のカウンター
棒銀がまずは端から仕掛ける

【図2-1 端歩を突き合う】
まずはハム将棋側が△9六歩と突いてきました。何気ない一手ですが、次に△9五銀と攻めていく手を狙っています。この端歩に対してはしっかりと▲9六歩と突き返し、△9五銀という手を消しておきます。
- 棒銀側が端歩を突いてきたらこちらも突き返しておく
7筋からの仕掛けにはカウンターを決めろ!

【図2-2 今度は7筋から攻めてきた】
ハム将棋側は今度は7筋から攻めてきました。この攻めに対しては返し技があります。どんな手を指せばいいかわかりますか?

【図2-3 四間飛車のカウンター】
相手が攻めてきたタイミングで▲6五歩と突くのが四間飛車らしいカウンターです。飛車と角が一気に働きだす必殺の一手です。
- 相手が攻めてきたタイミングで▲6五歩と突く
まずは角を捌く

【図2-4 まずは角を交換して捌く】
▲6五歩と突いた後は、飛車と角を捌いていくのを狙います。まずは角を交換して捌きました。
- ▲6五歩と突いた後は大駒の捌きを狙う
次に飛車の捌きを狙う

【図2-5 今度は飛車の捌きを狙うが…】
角が捌けたので今度は飛車の捌きを狙っていきます。飛車を敵陣に成り込んでいくのを狙い、▲6四歩と飛車先を伸ばしました。ハム将棋側は△6二飛として守ってきましたが、ここでいい手があります。

【図2-6 両取りで勝勢】
▲6六角と金銀両取りの角を打って大優勢になりました。このように、棒銀で攻めてきた8四の銀が取り残されてしまい、▲6六角として狙われる展開は非常によく出てくるので是非覚えておきましょう。

【図2-7 駒得に成功】
両取りに打った角で銀をとり、駒得に成功しました。取った銀を使ってさらに攻めていきましょう。
数の攻めで敵陣突破!

【図2-8 単純だが強力な攻め】
6三の地点に銀を打ち込むのが単純ながらわかりやすい攻め筋です。6三の地点は先手も後手も2枚の駒が効いています。そのためこの地点で戦いを起こせば数の攻めで先手が攻め切ることができるのです。
終盤の寄せのテクニック
終盤は駒得よりスピード!

【図3-1 一気に終盤に】
図2-8から何手か進むと一気に終盤模様になりました。次に桂馬がタダで取れますが、もっといい手はないでしょうか?

【図3-2 一間龍の形に】
図3-1からはあえて桂馬を取らず、▲6二とと進みました。▲7三ととして桂馬を取る手も良い手であることには変わりませんが、せっかくできたと金が相手玉から離れていってしまいます。終盤になったら、相手の駒を取るだけでなく、攻め駒を相手玉に近づけていく手も考えていきましょう。
合駒された時の手筋

【図3-3 一間龍の寄せの形】
図3-3のように、相手玉とこちらの龍が1マスはさんだ形になっている状態を「一間龍(いっけんりゅう)」といいます。一間龍は有名な寄せの形で、図3-3のように合駒して受けられても▲5二金のような攻めが成立します。後手は▲5二金に対して△同銀とも△同玉とも取れないのがわかりますか?
最後は3手詰

【図3-4 最後は三手詰】
先手の攻めはどんどん続いていきます。図3-4の局面では3手詰になっています。どのように詰めるかわかりますか?

【図3-5 四間飛車の勝利】
最後は何通りか詰みの手順がありましたね。見事四間飛車側が相手玉を詰ませることに成功しました。
まとめ
- 四間飛車では相手が攻めてくるまでとにかく囲いを固める
- 相手が攻めてきたタイミングで▲6五歩のカウンター
- 飛車と角の捌きを狙っていく